店長で「アガリ」になっていませんか?
人財育成は人と人との関わりあいが最重要です。しかし、それだけでは組織は脆弱になります。自分はこの会社にいて最終的にどうなっていくのか、という地図がなければ目的も目標も見えず、教える側は育成がその場しのぎのものになり、教えられる側も全体像が見えず、身が入らなくなります。
その地図というのは、いわゆるキャリアアップシステムです。スタッフの能力向上、およびその実績が認められた場合に、会社が昇進、昇格などをおこない、待遇改善によるモチベーションアップや自己実現欲求、承認欲求を満たし、さらなる能力向上とそれに伴う業績向上につなげる組織づくりの基本といえます。
創業したての小さな会社、店舗であれば必要ありませんが、2年3年たち、店舗が3店舗以上になっても、社長の鶴の一声で何でも決めている会社が散見されます。これはかなりまずい状況です。
キャリアアップの仕組みがないことの何が問題なのか。
問題は、会社の将来と判断基準が見えないことで、スタッフの不安が増大することです。
将来が想像できないことによる不安は確実に離職率を引き上げます。そして行き当たりばったりの組織づくりはスタッフ同士を疑心暗鬼にします。
「あの人は何であんなに給料をもらっているのか」
「いきなり店長にさせられた…」
「マネージャーに任命されたが、なにをすればいいのか…」
「異動に次ぐ異動で疲れた…何か計画があるのか…」
スタッフ同士は何でも話しています。知らぬは社長ばかりなり。こういう積み重ねが組織を破綻に導きます。
ですから、キャリアアップシステムは必ず作り、それをしっかりと共有しておかなければなりません。
しかしただ作っておいてもダメで、その仕組みに魂を入れなければ、全く意味はありません。“仏作って魂入れず”の状態は作らないよりも悪い状況になる場合があります。
その魂を入れるのは“社長の仕事”です。
社長がその仕組みに則って人事を行うことです。社長が率先して実践しなければ、スタッフは白けてしまい、仕組みは機能しません。例外もあまりつくらず、厳格に運用することがポイントです。そうすることでようやくキャリアアップシステムが生きてくるのです。
その仕組みはどうやって作るのか。
キャリアアップシステムはスタッフの将来を一番に考えて作るべきでしょう。店舗ビジネスでいえば、これは何回もお伝えしていますが、店長の先をつくることに力点を置く必要があります。
今まで多くの会社を見てきましたが、一つ言えることがあります。
それは店長で「アガリ」の状態になり、その先がない会社が多いということです。
これは非常に由々しき事態で、せっかく店長にまで育ったにもかかわらず、その先がないために退職を選ぶ人が少なくありません。
会社側も何年もかけて育った人財がいなくなることは相当な痛手となります。生産性は低下し、またゼロから人を育てなければなりません。
ですから、店長のその先を考えることを経営者の皆さんには強くお勧めします。
それがエリアマネージャーなのか、スーパーバイザーなのか、トレーナーなのか、はたまたのれん分けなのか、会社の状況に応じて様々な形が考えられます。
要はキャリアコースを“選択”できるようにしておくことが肝心なのです。
そしてそれを“先に言う”ことです。後からこういうコースがあるんだけど…と言っても誰も残ってくれません。採用時からきちんと説明しておくべきなのです。
今、キャリアアップシステムがない会社については、すぐにつくったほうが良いでしょう。そういった仕組みがないということは、スタッフの将来のことを考えていないということです。少なくともスタッフはそう感じています。
組織をデザインし、それを実際につくりあげるのは経営者にしかできません。経営者が現場の仕事にかかりきりになっていてはダメです。会社の将来はあなたの手にかかっているのです。
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