魅力のある職場
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「教育投資」を再考する
ある経済誌で、「日本の高等教育への教育支出の対GDP比率は、先進国中で最低水準。また、企業による技能訓練なども低迷。これが日本企業の競争力低下の背景にある・・・」などと、経済に詳しいある大学教授が話していた。
教授曰く、「ある国際会議では、どうすれば低迷した先進国の経済成長率を引き上げられるのか」というテーマで議論がなされ、多くの参加者が、「教育や技能訓練などの人材投資を増やすことなくして成長率アップは難しい」と発言していたという。
確かに、教育投資によって、労働生産性を高めることが一つの方向であることには間違いない。
しかし、それを政府に期待して時間ばかりが流れジリ貧となっても誰も責任は取ってくれない。
企業の経営は、企業の責任において行うべきもの。
企業は本質的に大切な「教育投資」を行って来れたのだろうか?
今日はここを考えたい。
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積極的に「教育投資」をしてきたか?
2000年代の景気低迷の中、優先的に教育投資をしてきた企業は少ない。
一部を除き、よほどの事情がなければ、教育投資の優先順位は低かった。
それは単に「教育投資=コストである」と見られていたからだ。
コストと考えると、教育投資より、非正規な労働力に頼らざるを得なかった企業の事情もあったと思う。
しかし、昨今では深刻な人手不足からその労働力すら確保が難しい時代になった。
人手不足の負荷は現場に向かい、労務事件が多発し、働き方改革が叫ばれ、政府からは「早く賃上げせよ」との要請が・・・。
この流れを俯瞰してみるに、どうも教育投資は後手、後手となっている感は否めない。
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社員が辞めない会社づくりを
「せっかく育てても、辞めたらかけた教育投資が無駄になる」
「長期的に働いてくれるという保証があれば、会社としても教育投資をするのだが」
という経営者や人事担当者の声も聞く。その気持ちもわかる。
・・・しかし、そもそもなぜ社員が辞めていくのか?
ここでは、その原因を考えてみたい。
仕事の内容、賃金、時間、休日などの労働条件から、人間関係、やりがい、将来への希望などの不満足など、人が辞めるには様々な要因があると思うが、
これらが本質的原因なのだろうか?
それもあるかもしれないが、本質は「その環境にいることが辛いから」だと私は考えている。
「辛い環境に耐えてこそ人は成長する」という考え方もあるが、人手不足の時代にはそれだけでは人は定着しない。
これからは、「辛さを感じる職場」から、「魅力を感じる職場」に変えていくべきだ、と私は思っている。
それは単に賃金や時間などの労働条件だけではない。
そこにいると、「幸せ感がある職場」である。
その職場のイメージは、例えば・・・思いやりを感じる、様々な人との連帯感がある。
職場では孤立がなく、仲間とともに、連携して仕事をし、チームで協力して困難を乗り越える達成感がある。
仕事を通して自分の成長を感じる充実感がある。
それを認めてくれる、仲間や上司がいる。
尊敬できる人と働ける喜び、価値観を共感できる人と働ける一体感がある。
何よりも、この職場は未来に向けて希望を感じられる・・・。
・・・このような職場に、働く人は「魅力」を感じるのだと思う。
魅力を感じるから、自分から辞めることはないし、そんな職場を大切にする。
顧客はもちろん、ともに働く仲間も大切にする。
こんな職場を提供してくれている、会社や経営者を大切にする。
会社を存続、成長させうる最低限の数字は、チームワークでクリアしていこうと各自が自発的に知恵を出す。
お互いに、教えあい、育て合う。
「相互支援型」の理想的な、職場環境ができていく。
経営者は、このような職場のビジョンを持ち、理想像を明確に提示していく時代になったと思う。
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これからの本質的な「教育投資」とは
「魅力的な職場を作る」には?
そのための教育投資は、単に技能訓練ではカバーできない。
弊社セミナーのアンケートで、「どんな教育投資をしているか?」と問うと、「専門知識やスキル教育」がほとんど。
仕事における、知識やスキルを高めれば、効率は高めることはできるかもしれないが、それだけでは、「魅力を感じる職場」づくりはできない。
それはなぜかというと、「教育」は、「教えること」と「育てること」の両輪で初めて効果を発揮するものだからだ。
特に、企業において管理職などの人を育成する立場にある方は、専門知識やスキルを「教える」だけではなく、部下や仲間の人間的見本となり、困難に挑戦していく姿を示し、部下や仲間をこちらから信頼して、様々な面で思いやりを持って支援する懐の深さが求められる。
その上で、この会社での未来の理想像を語る。
その実現する戦略を希望を持って語る。
・・・このように接することがなければ、部下との信頼関係ができない。
信頼関係がなければ「育てること」はできない。
その上で、部下に希望を与える事ができなければ、その職場に魅力も出ない。
本質的な「教育投資」とは、そんな「真の育成者」を社内につくること。
そんな教育投資を企業に提言している。
「自走式組織 5つの成長法則」セミナー
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