「チェーン経営で人時売上の結果を変える」
「先生、ここにきて、人時売上が一気に上がり、ちょっと心配です」と目下、業務改革取り組み中のチェーンの社長からのご相談です。
人が少なすぎないか?管理職に仕事が偏っていないか?あるいはサービス残業になってはないか?といったことが気になるのですが。
ということで、売場別の人時売上をもとに点検しますと、アブノーマルな数値もなく、正常な業務改善を進めておられることがわかり、経営陣もほっと胸をなでおろしておられました。
今までは、人時を手探りでやっていたものの、時間ばかりかかってどう活用したらいいのか、分からず、思考停止の状態にありました。
人件費が上がる一方で、このままいくと資金が足りなくなるという危機感から、社長自らが、セミナーにお見えになったのが、ご縁のきっかけです。
今だから言えるのですが、個別相談の時は、正直申しまして、社長をはじめ、経営幹部の方々全員が暗く、顔色がすぐれない・・・というのが、第一印象でした。
ところが、ここ数カ月 その経営幹部の皆さんの顔が、赤みを帯びた、血色のいい顔色となり、その笑顔を拝見するたび、本当にお手伝いさせていただいてよかったなあと思います。
このチェーンもスタート当時は、あの手この手で、やってくる競合各社の派手なチラシプロモーションに苛まれていました。
その厳しさは、人口減も加わり、人時売上結果に現れていまして、果たしてどこまで回復できるか、予想もつかないと言った感じだったのです。
これまでも手をこまねいていたわけでもなく、むしろ、丁寧な売り場づくりや、配達といったあの手この手で、売上をあげることは全て取り組んできた、歴史ある立派なチェーンのひとつです。
しかし、少子高齢化が進む中で、売上を上げ続けることに限界を痛感し、人時売上改善に活路を見いだし、変革へ向けて大きく舵をきり進み始めました。
弊社が出した課題に対して、どちらの企業も大抵は、締め切りギリギリになって担当スタッフが作って提出してこられます。
しかし、こちらのチェーン企業は、取締役のフットワークがよく、自らが指揮をとってその作り方のポイントを部下に指導し、次回のコンサル前にその活動経緯を社内共有してから臨まれます。
例えば、店舗の人時推移をグラフ化を指示すれば、売場別の数値まで同じようにグラフ化して分析して提出してこられます。
納品物量に対する標準時間の設定も あらゆるパターンを全て調べ上げるほどの徹底ぶりです。
ヒアリングミーティングなどは、取締役が参加されるかどうかで、その後の改善度合いは全く変わってくるわけで、もちろんこういったものも絶対に外しません。
一を聴いて十を知るという、言葉がありますが、まさにそのように、社長と、取締役が、一丸となり良い結果を出そうとしているから、成せる技という感じであります。
一方では、頑張っても、中々数値が変わらないチェーン企業もあります。
そういった企業の特徴としては、やたらと上手くいった話ばかりを聞きたがります。
好事例は皆さん興味をもたれるところなので、こちらもよくお話しをさせていただきます。
問題なのは取締役クラスの動きが遅く、「うちの場合はそれとは違うから」という言い訳を繰り返し、自社で作った資料の点検もしないばかりか、調査も部下に丸投げで何も行動を起こさないということです。
「店長ならまだしも、そんな取締役の言い訳を容認する社長に問題がある」と切り捨ててしまえば、それまでですが、
しかし、頭でわかっても、実際に結果がでないのは、人時を戦略的に活用する仕組みが無いからで、その根本から作っていくことになります。
トヨタをはじめとする製造業では、姿形の見えない海外企業相手に、ある日突然、売上が半分になるということも日常的にあるわけです。
その熾烈な戦いに勝つために、リストラという仕組みがあります。
銀行業界でも二ケタの減益を受け、メガバンクでは1.9万人の業務量を減らす大リストラ策を発表しています。
国内小売チェーンはというと、姿の見えないAmazonにシェアをとられ、減益となってもリストラ策を発表してるところはありません。
それどころか、人手を増やして売上を回復させることばかりがクローズアップされています。
批判を恐れずに申し上げますと、業務量を減らすリストラをせずに、時給が上昇するパートアルバイトを採用し続ければ、どうなるかは火を見るより明らかです。
世の中の誤った情報を真に受け 採用してしまってからは手遅れになります。
こうして、一つの事象からいくつものことを 解き明かしていく力をつけるには、先の企業のように、社長と取締役が一丸となって、仕組みを作り上げていくことがその第一ステップとなります。
さあ、貴社では、人時を戦略的に活かし、結果を変える仕組みを持っておられますでしょうか?
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