売上増“仕組みづくり”策定のポイント
先日、主力商品をリニューアルしたい、とのご相談で、ある企業を訪問いたしました。その会社では数ヶ月前から財務コンサルタントのA氏という方が入っておられ、社長曰く「財務の面から“売れる仕組み”を作ってくれるとかで、、、」経営管理部門を統括している専務がセミナーを受けてお願いしたそうです。
社長曰く、
「A氏が、売れる仕組み、売れる仕組みって言うんですよね。でも、うちはメーカーだから仕組みはあるんですよ。材料を仕入れて、商品作って、お店で売ってるんだから。これはもう仕組みだよね。結果、顧客もついているわけで、売れる仕組みはできてると思うんだけど、まぁ専務がやっていることだから・・・」と。A氏は手始めに「マス媒体とネットで広告を打つ」という方針を掲げたそうです。
社長の話では、いっとき少なかった売り込みが最近やたら多いそう。財務指導やマーケティングコンサルティング関連の売り込みで、メール以外にもダイレクトメール、電話の売り込みがひっきりなし。「だいたい向こうさんは、売れる仕組みがどうだこうだって言うんだよなー」と。
中小企業において、第三者から「あなたの会社は売れる仕組みがないから、ダメなんだ」と叱咤されれば、たいてい「たしかにウチの会社はマーケティングが無いな」とか、「武器となる強いツールがない(苦手)」、「製品づくりは真摯だけど売ることへの意識は低いかも」とか「先代がやってきた通りにやってるだけ」「ネットの時代なのに通販のシステムが弱い」等々、さまざまな課題が思い浮かぶのではないでしょうか。
では「売れる仕組み」が何を指すのか、どう方針を策定するかという実務になれば、計画書や企画書だったり、ツールや広告だったり、Web系コンテンツだったりと様々で、効果の検証もできないため「頭ではわかったし、実際やってみたものの、それが自社の仕組みといえるのかどうか実感がわかない」という話もよくあることです。
この成熟社会において、ある程度ビジネスを継続してきた企業ならば、大手企業が行うような教科書通りのやり方ではないにしても、独自の売れる仕組みがあります。創業間もない会社ならまだしも、売れる仕組みがなければ、商売の土俵に上がったものの、事業の継続は危うい。数十年続けてきた会社には必ず「仕組み」があるはずです。大事なことは、その仕組みが「どういう観点から考えられているか」。視点はどこにあるか、ということです。
わたくしの前職、洋菓子メーカーは入社した当時創業50年の会社で「売れる仕組み」が完成していました。洋菓子を製造する自社工場がある。洋菓子を販売する直営店舗、買取型の店舗もある。製造と販売をつなぐ本部機能がありヒト、カネ、ソフトを動かしていました。リスク対策も組み込まれていますから、ヒトがまるごと入れ替わったとしても、会社には昨日と同じ今日があり「洋菓子を造って売る」が自動的に回るようになっていました。
当時は年商約400億の事業規模。そして今、M&Aで母体が変わってからちょうど10年経ちますが、数字はどうだろうか、、、。
たとえ強固な「売れる仕組み」があっても、ビジネスには逆境があります。政治や経済、世界や自然の動き、わたしたち生活者のマインド、、、こうしたマクロ的な環境から逆境が生まれ、仕組みは回ってはいるけれど収益上昇できない状況があります。売れる仕組みは万能ではない。成熟社会においてはむしろ「手詰まり」です。企業目線でシステム化してきた「売れる仕組み」には限界があります。
わたくしの商品リニューアルコンサルティングでは、商品サービスのリニューアルの「仕組みをつくって企業内に定着させる」方法をお導きをしています。あらゆる眼、着眼は「お客様側」であることを基盤としています。お客様の方から企業体を見つめます。商品サービスを、企業が構築したシステムを、お客様側から視ます。すると、売れる仕組みがまったく違う風景だったりすることに気づきます。
お客様にとって
自社商品サービスが「買いたい」「買いやすい」となっているか。
自動的に「買いたい」「買える」仕組みになっているか。
お客様が自然な気持ちで
気になって、欲しくなって、買いたくなって、自然に「買える」仕組みになっているか。
ネット環境の整備はもちろん、お客様のひとつの情報がつながる時代、国家以外で発行される貨幣が経済の中心となりつつある時代、お客様を取り囲む生活が、今根底から大きく変わろうとしています。外的環境に影響を受けざるを得ない生活者の「心」が大きく変わることを示唆しています。企業目線で構築した「売れる仕組み」を脱皮し、お客様が主語の「買える仕組み」へと昇華させることです。社長の考え方をパラダイムシフトさせることが要請されています。
自社目線の「売れる仕組み」づくりから、お客様の「新しい心」に刺さる「買える仕組み」づくりへ。御社が大きくパラダイムシフトする岐路に立っています。今までの延長線で下降してゆくのではなく岐路こそがチャンス!です。考え方をジャンプさせ、お客様の新しい心に響く商品リニューアル戦略を定着させてゆきましょう。
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