財務を知らない社長が危険な理由
主に、世代交代期の中堅中小企業、特に同族会社の多くは旧世代的な経営スタイルであり、すべての点において「仕組み」が存在しないというケースが大半を占めます。そこで「仕組み」を創り上げるための「改革」が必要になってきます。
ただし、もし、この「改革」が、ただ単に会社を良くしたいという想いだけの「改革」であれば、それは、単なるスローガン的なものでしかありません。
一時的な気分の高揚だけで会社経営がうまくいくほど世の中甘くはありません。社長にとって真に重要なことは、会社が未来に向かって前進するための具体策であり、そのための戦略を持つことなのです。
つまり、社長が最も考えなければならないのは、「会社の未来を創るための具体策」です。「どうやって儲かって、潰れない会社にしようか?」「どうやって利益を出して、お金が残る強い財務の会社にしようか?」を具体的に考えることであり、そのための財務戦略を持つことが最も重要なことなのです。
突き詰めて考えれば、会社経営は、あくまでも「最小の元手で、最大の利益を稼ぐ」一連の流れであり、そのための「仕組み」をつくることにあります。したがって、社長業の中で最も重要なことは「お金が残る仕組み」をつくることなのです。
銀行からお金を借りる方法とか節税対策のテクニックなどは、単なる「戦術」の話であって、それ単体では何ら効果を発するものではありません。
むしろ、枝葉の情報や小手先のテクニックだけでは逆効果。貴重な限りあるお金を減らし、無駄な借金を増やしている会社をこれまでにたくさん見てきました。
社長、特に後継社長が最初になすべきことは、「正しい経営判断を下すための社長専用のモノサシ」を持つことです。目先の売上拡大や過剰投資、場当たり的な資金調達や間違った節税対策などで貴重な資金を減らしてしまっては、本末転倒です。
儲かって潰れない、利益を出してお金が残る会社づくりをするために社長が行うべきことは、タイムリーに「攻める経営」「守る経営」「捨てる経営」を実践するための経営判断の基軸を持つことなのです。
万が一、「正しい経営判断を下すための社長専用のモノサシ」を持たないまま社長に就任したとしたら、それは、まさに目隠し運転で高速道路を走るようなたいへん危険な状態でしかありません。
経営判断の基軸になるものがなければ、社長自身が気付かないうちに数千万円、場合によっては億単位の赤字を延々と垂れ流し続けることになります。
社員や家族の生活を守れるのは、ほかでもない社長ただ一人です。
社員や家族の人生を守りぬくためにも、社長は「財務」を武器にして、「儲かって潰れない」「利益を出してお金が残る」会社づくりをすべきなのです。
ダイヤモンド財務®コンサルタント
舘野 愛
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