いい商品を、利益の出る商品にする秘訣
「1万円のお客だって、100万円のお客だって、お客なのよ!私をほっといて顧問料の高い客ばかり仕事しているんでしょう!
違う?1万円のお客を満足させられない仕事ぶりなら、100万円のお客が満足するかしら?1万円の仕事がスケジュール通り終わらないんだから、100万円の仕事はスケジュールも立たないんじゃないの!」
これは、私が会計事務所時代にお客様から指摘を受けた痛恨の一言です。
目の前のお客様に「今、私はあなただけを特別扱いしています。」と言って、心底信じてもらえるかどうかが、ビジネスの正否を分けるとわかった一言です。
私が入社した会計事務所は小さな事務所でしたが、経営する税理士先生の方針が、時代背景・顧客ニーズに合致していたおかげで、入社後毎年40社ずつ、顧問先がふえていきました。
当時その事務所のウリは、「楽に経理が出来る、節税が出来る仕組み」です。
“楽に”は、もろはの刃でした。
お客様の楽は、担当者が“孫の手”のように働く事につながるからです。
新規契約はすぐに取れる、でもそれだけでは、単価の安い労働です。
しかも、安い労働力で勝負というのは、若い未経験の労働者頼り。
販売業であれ、サービス業であれ、未経験社員を指導するのが中堅社員の仕事。
難しい案件を担当するのも中堅社員の仕事。
教えなければ、営業しなければ、利益を上げなければ、給料はあがりません。
これでは三重苦、いえ始終苦労をする四重苦です。
いったいどうすれば、この四重苦から逃れられるか?
面倒で安いお客様はお客じゃない!
高額のお客を捜そう。
そうだ、それには金持ちのお客につながらなくては!
相続対策を掲げて、地主や地域の社長さんを訪問し、プランの提案です。
税理士先生は、毎週ゴルフで接待です。
華々しく全国大会を開き、新たなコンピューターシステムを導入して…。
高額な商品を売るためには、高額な設備投資が必要でした。
社員教育も、毎月のように研修会に参加し、次々と費用をかけていました。
次第に、お客様との接触時間が減少していきます。
そんなときに、お客様から言われた一言が、上記の言葉でした。
あーっ、お客様は担当者が「自分の思いに応えているかどうか」見抜いている。
お客様は、自分のことしか考えていません。
これは、万国共通・全人類共通、お客様にとって当然のルールです。
ところが、私は、お客様より、私自身のことばかり考えていました。
自分本位の社員でしたが、私にはお客様が喜んでくれているいい商品がありました。
会社の経理を簡単にする「預金通帳決算書」そして「一番商品」づくりです。
今 目の前でサービスを購入して最高に嬉しいと思っているお客様に、
「あなたのために私はいます。」と伝えたらどうだろう。
そうすれば、もっと嬉しくなってくれると確信出来ます。
でも、今までのサービス料金だけでは、採算が合わせられない。
じゃー、もう一つ売上の上がるサービスを用意すればいいではないか!
そこで出来たのが、チームで訪問する仕組みです。
二人チームにして、一人が、お客様のお話を聞く仕事、もう一人が、今まで事務所に持ち帰っていた業務をその場で完了させます。
人件費が2倍になっても利益が4倍になれば、採算は改善します。
じっくり聞き役は、お客様の悩み・興味から、新たなサービスを提案します。
「二人で来て下さって、経費がかかるものね。それじゃお願いするわ」
購入の感謝を伝えると、「それじゃお客様を紹介しようね」
お客様が怒る理由は、「私のこと(お客様)を考えていない」と感じるからです。
「これがウチのやり方です。」とお客様の支払ルールを無視する。
「請求書が届いたけど、計算間違っている!」お金の間違いは最悪です。
もっとも悪いのは、「こんな一年も前の金額、何で今頃請求なの!」
「ウチの仕事どうなっているんだ、全く報告さえない。まだ終わらないのか!」
欲しいときが、ありがたい時、時間が経てば欲しいが減少していきます。
「電話したら、担当がいないから分からないなんて、社長は知ってるのか?」
すぐに返答が返れば、大事にされていると感じます。
たらい回しにされたなら、自尊心は傷つきます。
飲食店で「美味しい」は当たり前。
美容室で「髪が綺麗に整った」は当たり前。
税理士事務所で「期限内申告が完了した」は当たり前。
「オレが、申告書を作ってやっているんだ!」
などお考えの税理士先生はいらっしゃいませんか?
先生に敬意を払うのは、その先にある税務署が怖いから。
お客様の本当にほしかったものは、当たり前の先にあります。
「今日来ていただいて、いろいろ相談できたら、安心できた。」
「金繰りの相談、めどがついて助かったよ。お金の不安がないことが一番だ。」
「本当にウチのために仕事してくれているね」
と納得されたお客様は、知人の社長さんを紹介してくれました。
紹介で仕事が増えていく、紹介は、あったその日からお客様になってくれます。
永くおつき合いが出来るお客様になっていきます。
商売は、パン屋も葬儀屋も皆同じ。
お客様にとって役に立ついい商品を提供する。
でもそれだけでは、利益が出ない場合があります。
そんなときは、お客様がその商品を購入していただいた時、使って喜んでいただいている時に、さら利益を増す商品を購入していただくのです。
そうです。使って体感している時に、もう一つ買いたくなる仕組みを提案することでもっと買っていただける、そしてその後も喜んで顧客でいていただけます。
小さな会社の一番大きな財産は、喜んでお客様を紹介して下さるセールスマン顧客の皆様です。
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