“捨てるもの”を決める入口設定戦略のポイント
新しい年になってから約10日が過ぎました。
この短期間で、ビジネスのご相談においてわたくしが10回以上耳にした言葉、それは「・・・人口減、でお客様が減っていて・・・」というワードです。
ビジネスの不振を「日本の人口減によるマーケットの縮小」にまず当てて話される方がとても多い印象です。この傾向は、個人商店だけでなく、中小、大手企業にもみられます。
例えば、昨日インターネットで流れていた人気ハンバーガーチェーン・モスバーガーのニュース。創業以来、二度目の大きな業績悪化に陥っているということです。その敗因については、第一に少子高齢化と人口減によるマーケットの縮小が根底にある。さらに異業種であるコンビニエンスストアの台頭、フランチャイズシステムの欠陥、人材育成と事業承継等々、、、
一方、同じ環境下で戦い、さらに不祥事からV字回復を果たしたマクドナルドとの比較では、マックの勝因を圧倒的なマーケティング戦略にあると結んでいました。
記事を読むと様々な要因が複雑に絡み合っての現状だと感じさせます。しかし事実から本質を取り出してみれば、「商品をお客様が買ってくれなくなった。」ということだけです。今もなお迷走しているモスバーガーも、V字回復前のマクドナルドも、お客様に買っていただけなくなったから不振に陥った。「商品サービス力」の不振が本質です。
SNSでの書き込みにも大きな気づきがあるものです。例えば、同記事をSNSでシェアしている方がいました。そこに書き込まれるコメントを1つ1つ読んでみると、モスファンと思われる人々がエールを送りつつ「・・・そういえば最近モスに行かなくなったしなぁ、、、」という何気ない言葉。さらにその言葉に共感する人たちがいるのです。ここで、立ち止まってみれば、以下の質問が立ち上がってきます。
そもそも、なぜ(知人は、私は、僕は)最近お店に行かなくなってしまったのだろうか?
お客様が買ってくれない。お客様離れがはじまっている。にもかかわらず、「商品サービス力」の不振を、正面から受容できる経営者は本当に少ないものです。個人レベルの小さな動きだけではなく、一定数以上の顧客の購買データを提示されたとしても、経営者にとって「自社商品」の欠陥に向かい合うことは、気持ちの上で非常に難しいのではないでしょうか。
「否。本当は分かっている。が、ひとまず時代や環境のせいとして、年始だからこそ一年のプランだ!想いだ!!」となりがちです。「プランニング」は魔法の言葉で、欠陥に向き合うよりずっと「ワクワク」します。ですが、本質を直視していない場合には、実務レベルではまったく効力がなく、貼っておくためだけのペーパーとなりがちです。
当たり前のことですが、経営者はご自分の事業に対して、湯が沸くほどの熱い想いがあります。狂気のような想いがあるからこそ成功できるわけです。しかし、裏を返せば、強い想いは「捉われ」となります。過去の成功事例があればあるほど、ご自身の想念ややり方に必ずこだわっているはずです。
経営者が「自分の想い」「自分のやりたいこと」「仕掛けたいこと」でいっぱいになっている状態であれば、すなわち「会社」も「自分たちが伝えたいことだらけ」「やりたいことだらけ」ではないでしょうか。
こうした熱い想いは、経営者の世界では尊敬されることです。しかし、商品サービスを買う、使うお客様にとっては全く関係がありません。ジョブスであろうとも、日清の安藤百福氏や本田宗一郎氏であろうとも、お客様にとっては無関係で、商品そのものを見つめています。
「商品サービス」とはそれ単体でスクッとひとり立ちしています。しっかりとした「顔」を持ち、あたかも「心」まであるかのようにひとつの世界観を背負い、強く消費者とつながっています。本質的には、商品それ自体が圧倒的な価値であり、商品それ自体が圧倒的な力です。
経営とは商品サービスそのもの。不振の理由は、必ず商品サービスにあります。
一年のスタートに立っています。士業の先生やアドバイザー、経営者仲間、幹部やスタッフの皆様といっしょにさまざまなプランをお描きになっていると時だと思います。現場レベルで考えれば、一人一人の目標設定や自社自店のやりたいことを設計する機会も多くなるでしょう。しかし事業の起点となる「入口」を間違えてはいけません。経営者やスタッフの想い、伝えたいことを「入口」にすることは非常に危険です。
新しい年のスタート、社長はどこを見ておられますか。
ご自身の想念でいっぱいになっていませんか?
自分のやりたいこと、
自社のやりたいことであふれてはいませんか?
お客様が買ってくださって成り立つ商売の道です。
滾る「想い」を、今いったん捨ててください。
顔を上げて、その向こう側にいるお客様を観てください。
足元の商品サービスを視、
離れてしまった、または離れつつあるお客様の声に耳を傾けてください。
お客様の喜びにつながる道をもういちど創ってゆきましょう!
商品リニューアルこそ、経営そのもの。
社長、2018年も粛々と御社の商品サービスを磨いてまいりましょう!!
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