不況に備える社長と、無防備で構える社長
「2018年は不況を予測する人たちがいますが、本当にきますかね?」
新年を迎えるとテレビも新聞も今年の見通しを立てます。
好況を予想する人たちもいる中、債務が極限まで増えているアメリカ経済や住宅債務増加、地方債務の増加など経済の歪みが顕在化している中国など、危機を予見する人たちも数多くいます。
経営者や経営幹部にとって、好不況の読みは非常に重要です。
事前に構えることができるか、無防備の状態で、環境変化を受け止めるか、その差は歴然となって現れるからです。
藤冨は、フルコンタクト空手をやっていたのですが「来る」とわかっていた突きや蹴りで倒れることは、ほぼ有りませんが、死角から来た攻撃は崩れ落ちやすい。
これは、経営も一緒だと感じています。
事前に見えているのか。
何が起きているのか見えないまま、突如環境変化を受け入れざる得なくなるのか。
その差は歴然のはず。
仕事柄、中小企業の社長と飲むことが多いのですが、最近藤冨は、必ずバブル崩壊やリーマンショックの時の売上推移のことを伺っています。
全く影響のなかった会社。
逆にめちゃくちゃ売上が上がった会社。
売上が半分以上も吹っ飛んだ会社。
中には、大借金を抱えて倒産し、たった3年で売上10億以上にまで復活した骨太社長もいらっしゃります。
その骨太社長さんは、しみじみ言っておられました。
不況はどうしようもないから極度にビビる必要はないが、備える必要はある、と。
予想がついていれば、たとえ有効な策が準備できていなくても、衝撃に耐えることができやすくなるという意味合いで話を聞かせてくれました。
備えあれば憂いなしということですね。
ちなみに、藤冨は「間も無く世界的不況が訪れる」と予測する人たちの意見と、「世界的な大不況なんて起きないよ」「日本国家が崩れ落ちるような不況はやってこないよ」と予測する人たちの意見を比較しています。
結論から言うと、高い確率でこの数年以内に市場パニックを起因とした世界的な不況に入るという知見に、藤冨は賛同しています。
なぜか?
その理由は、不況が訪れると言う人たちは、現象を「構造」で捉えているためです。
逆に、楽観的な人たちの意見は、「表面的な現象」や「権威の言葉」をそのまま飲み込んで予想している人が多いと感じるためです。
特に、麻生元総理の意見を丸呑みしている人が結構多いのに驚きます。
麻生元副総理は、「日本がギリシャのように、国家破綻することはない!」と断言した上で、このように解説していました。
「国家破綻すると言っているやつは、経済が全くわかっていない。(中略)100借りてる政府がいれば、100貸している誰かがいる。誰が貸しているんです? そうです、国民が貸しているんだね。ところが新聞を見てごらん、「子どもや孫に至るまで一人700万円の借金」……違うでしょう。700万円の貸付金が起きているんですよ、あれは。貸しているのはみなさん。」
私は、この発言を聞いた時に、国民をバカにしているのか?と憤りを感じました。
外国人が国債を買っているわけじゃないから、取り付けは起きない…と言う理屈で言っているわけです。
でもですね。
破綻をどう定義するか? この視点が重要になります。
第二次世界大戦中に、日本は「戦時国債」を発行し、日本国民から借金をしていました。
借金は、日本が勝戦国になった際、敗戦国から徴収する「戦時賠償」で、国民に借金を返す予定でしたが、日本は残念ながら敗戦国になってしまいました。
結果、借金は返せません。
どうしたか?
1945年8月6日に広島に原爆が落とされ、同年8月15日に終戦。
その4ヶ月後の1945年に12月に「預金封鎖」と「新円切替」そして、止まらないインフレ(4年で物価が80倍に高騰)によって、戦時国債を紙くずにしてしまったと言う歴史を持っています。
確かに、デフォルト(破綻)はしていません。
しかし、国民から預かった虎の子(お金)は、チャラにしました。
今、日本の借金は1200兆円以上もあると言われています。
反面、GDPは500兆円前後。
対、GDPで240%以上あります。
ギリシャが破綻した際の対GDP費は170%と言われていますから、危機的水準でないとは言えないはず。
日本は、資産があるから大丈夫だ!という識者もいますが、これらの数字は、非常にわかりづらく、隠れ蓑もいっぱいです。
我々一般国民が、本当の姿を知る由もありません。
実際、ギリシャの財政破綻の引き金は、政権交代後に、旧政権が行ってきた財政赤字が明らかになったことです。
国の財政状態というのは、表面的な数字だけでは見えにくいものなのです。
しかし、だからと言って目をそらすのは良くありません。
見えないからこそ凝視をして、何が起きているのか感度を高める必要があります。
日本の枠を超えて、世界の数字を拾っていくと、さらに気にある数字が並び始めます。
現在、世界全体の負債総額は152兆ドルにまで膨らんでいるとのこと。これは、世界のGDPの2倍以上に膨らんでしまった計算になります。
日本で民間債務がGDPの2倍を越した時に、バブルが崩壊したことを考えると、世界規模で経済が軋んでいることがわかります。
藤冨は、バブル崩壊前夜の新聞を掘り起こし、マスコミが当時国民に吹き込んでいた空気感を分析したことがありますが、当時は、皆な楽観論。
今年は株価4万円まで行くぞ!と多くの一部上場企業の経営者の声を新聞に展開し、好景気に見せかけていましが…
水面下では、身の丈以上の借金に溺れていたわけです。
そこに金融の引き締めによる借金規制(総量規制)が発動され、借金が戻らなくなると恐怖に感じた銀行を起点にした信用不安が起こり、バブルが崩壊したわけです。
でも、不況への突入は決してネガティブな要素だけではありません。
これも歴史が証明していますが、不況の裏側には、必ず新しい「芽」が芽生えているものです。
世界的規模で動いている第四次産業革命と言われる技術革新が、その芽となりますが、この大きな流れを正しく理解しようとするスタンスが今、大事な気がしてなりません。
「無知は罪」と言った賢者がいました。
社員を抱える経営者は、経済予想について無知ではいけないと藤冨は考えます。
市場パニックの衝撃で、けが人を最小限にするためにも…
皆さんは、今の経済をどう捉えていますか?
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