社員が定着し、成長する会社の社員が感じているもの
「最近、やっと育てて一人前になったと思った中堅社員が辞めていくんですよ。しかも、同業他社への引き抜かれているみたいで、うちの会社は、まるで人材育成機関みたいになっているんです。どうしたものでしょうかね。」人事部門を統括されている方からのご相談です。
そもそもこの会社では、主に中途採用を行っているのですが、入社してそこそこの経験を積んだら、他社へ行って自分の実力を試そう、より高いポジションを目指そうという社員が多いのだそう。これでは自社内に優秀な人材、ナレッジが蓄積されません。
この状況を、今年度はたまたま離職者が続いたとか、他社が相当良い条件でリクルートに力を入れていたからだと考え何も手を打たないでいると、残された社員の方も「会社は辞めていく人が続いても何もしない」と感じるようになります。
さらには、「自分も先輩たちと同じように、あと2年ほど経験を積んだら、転職活動を始めよう。」なとど考えるようになります。手を打たないということは、このような予測できる未来のリスクを放置しているということです。
一方で、社員が辞めたがらない会社もあります。また、うつ病などの精神疾患のため休職後に復職したという社員であっても、復職後にすぐに辞めたいと考えてしまう場合と、以前と同じ職種で働くことが難しいという結果となったとしても、与えられた仕事に精一杯取り組もうとする場合もあります。
社員が辞めない会社とはどんな会社でしょうか。社員が辞めない理由は何なのでしょう。
給料をはじめとする待遇が良いからでしょうか。
残業がなく、有給休暇も取りやすいなど制度が整っているからでしょうか。
自分がやりたいと思う仕事に就けているからでしょうか。
その違いは社員がどのような職場環境で働いているかに大きく関わっています。特に重要なのは、仕事を通じて「自分は成長できている」という実感が持てているかどうかなのです。
「成長」といっても、そのレベルは様々で、「以前、出来なかったことが出来るようなった」というレベルのものから、「心の成長、人間としての成長を感じることができている」というものもあります。ですが、そのレベルが大事なのではなく、「成長するために挑戦できる、挑戦する機会がある」と感じているかどうかが大切なのです。
挑戦と一言でいっても、誰もがすぐに出来、必ず上手くいくということではありません。失敗することもあれば、それにより何らかのダメージを受けることもあるでしょう。ですが、成長のための挑戦の機会があり、社員が失敗を恐れず安心して挑戦できる環境であるということ。
会社がすべきなのは、社員が安心して挑戦できる環境を作ることです。これは次のポストを与えるということでもありません。正しく評価することだけでもありません。失敗を失敗で終わらせるのではなく、失敗からも学ぶという企業風土が必要だということです。
そしてこのような企業風土を醸成するには、会社の覚悟と、ある程度の時間と、正しい手順が大切なのです。離職率が高いことを個々の社員や外部環境が原因であると考えている限り、何も変わらりません。
失敗を恐れて回避するか、失敗から学び成長の糧にするか。優秀でやる気のある社員の意識を変える必要があるのです。
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