360度評価をしてはいけない理由
今まで40年以上人事制度の仕事に関わってきました。
日本で現在活動している人の中では私がこの研究では一番長くなりました。
その私が、はっきり言い切れることがあります。
評価が楽しい上司は1人もいなかったことです。
評価を喜んでいた部下も1人もいませんでした。
では、なぜ評価をするのでしょうか。
一般的には、この評価によって社員の昇給・賞与を決めます。
つまり、評価とは処遇を決めるために行うものとされてきました。
ところが、経営者にとって最も大事なことは処遇を決めることではありません。
何らかの縁があって入社した社員が、成長することです。
成長して、この会社で物心両面豊かになってもらうことです。
これが経営者の真の思いです。そのために、評価をします。
あなたがこの重要業務を5段階で
1点「その業務をやっていなかった」
2点「その業務を少しやっていた」
3点「その業務を基本となるやり方でやっていた」
4点「その業務を優れたやり方でやっていた」
5点「その業務を他の社員に教えていた」
どこまで成長したかを決めます。
この5段階でどこまで成長したかを組織的に決めなければ、この社員の指導をすることができません。
部下は自己評価を持っています。
この自己評価と上司評価のギャップがあるため、上司と部下の人間関係が壊れることがあります。
元々、上司と部下の人間関係が上手くいかない理由の50%以上はこの本人評価と上司評価のギャップです。
この評価のギャップも成長支援会議を1年間に4回やることによって、ほとんどなくなっていきます。
もっともこのときには、上司間の評価のいわゆる甘辛もなくなってきます。
社員に伝えられる評価は、会社組織全体の評価であり、それをしっかり受け止めることが必要になります。
社員も、これが全上司が集まって決めた評価であるとすれば、納得せざるを得ません。
評価をする理由は、部下を成長させるためなのです。
ところが、最近日本では360度評価(多面評価)という欧米の評価の仕方を日本に導入しようという考え方を持っている専門家が増えてきました。
本人に評価をさせたときに、他部署の社員の評価、または同僚の評価、または部下の評価、これを取りまとめて「あなたをこのように見ている」と上司の上司がフィードバックしたら、この上司はなんと考えるでしょうか。
上司になった段階で、自分の部下を指導しようという気持ちが強くあるでしょう。ところが、それを常時見ているわけではない人達が評価をすることによって、どのような問題が発生するでしょうか。
「あなたは部下から信頼を受けていない」と言われても、
「ではそれを言ったのは誰ですか」となります。
自分の評価に責任を持つ人しか評価はできないのです。
360度評価だと言われれば、納得をせざるを得ないかもしれません。
しかしこのずっと評価が低かったことを思い続ける必要があるのです。
ではどのようにそれを良くしたら良いのか、誰が指導することになるのでしょうか。
部下が上司を指導をすることはできません。
他部署の社員が指導することはできません。
同僚が指導することはできません。
上司しか指導することはできないのです。
そのため、この360度評価は絶対してはいけないのです。
組織風土を壊すことになることは明明白白です。
評価とは、部下の成長を願うために、真剣に行うものであることを確認してください。
失敗してからでは遅すぎます。
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