「チェーン経営で瞬間的な売上アップにこだわる?」
「先生、いままで、売上を上げることしか考えていませんでしたが、これからは生産性を上げることに切り替えていきます。」
とあるチェーンの社長の一言です。
そのチェーン店のバックヤードを案内していただくと、在庫も少なく、きれいに整理されていました。さらに通路を進んでいくと、倉庫の一角に、クリーム色のトレーに、販促物をつりさげるL型の備品が無造作にいれられてます。別トレーには、黄色に赤文字で「○○セール」と書かれた紙のれんとPOP類が山積みです。
――――これはいつ使いますか?
「月に一度だけ、割引デーの時に店内に張り出すツールです」
――――取り付け人時はどのくらいですか?
「この販促物の取り付けに、取り付け取り外しで毎回2時間です。」
――――お客さんは、これ見て買いますかね?
「毎月恒例なのですが、売上が落ちてきています。インストア加工の生鮮品は、このセール時は商品供給が間に合っていない状況」とのこと。
POPは、商品を目立たたせる物言わぬ販売員、かもしれませんが、大事なことは、お客様の視線の先にある、商品とプライスカードです。
にぎにぎしく、派手な演出は、飽きない、エキサイティングなのかもしれませんが、批判を恐れずに申し上げれば、それは小売り側の勝手な妄想にすぎないということです。
いつも商品がある場所に、いつでも欲しい分だけ買える商品があって、はじめて儲かる売場になるのです。
先の企業では、のちに、演出ツールの量を10分の1に減らす仮説をたて、その影響度を計測したところ、売上は全く変わらない検証結果がでたため、最終的に、演出物は全て撤去することにし、今、人時売上を改善させています。
ここで最もネックとなっていたのは、月1日だけの、このセール日のために、余計に人員を抱えなくてはならなかったということでした。
理由は簡単で、月1日だけの採用は、派遣対応が難しく、やむを得ず自社で多めに採用し、恒常的に人時が高止まりしていたのです。
こうして、人時を使って指示書上でみていくと様々なことが見えてきます。
年末12月の売上が高いスーパーでは、人時売上も高くなります。それは、おせちであったり、クリスマスといった高単価商品が売れるためです。お刺身の大皿の盛り合わせであったり、惣菜の大皿オードブル、チキンといったインストア加工品は、確かにその分人時はかかります。一方では、かまぼこ、だて巻きといったおせち加工食品は、単価がこのときは一気に7~10倍に跳ね上がります。こちらのほうは、品出しをするだけで、追加人時は必要ありませんから、12月だからといって、人員を大幅に増やす必要はないということになります。
毎月人時売上を把握しておられる企業であれば、お分かりのことと思いますが、売上高に合わせて、人を増やすのでなく、納品量に応じた労働力が準備されているかどうかということ重要だからです。
スーパーの場合、11月~12月で年間利益の6割を稼ぎ出すという、特殊な構造があります。最近は、通販やコンビニやドラッグが季節商品の品揃え強化していることから、12月商戦の売上は減る一方で、年間利益に大きく影響が出始めています。
これを回避するには、年末に偏重した利益構造から、平月でも稼げる仕組みに変えていくことになります。
「それが出来ないから困ってる」という声が聞こえてきそうですが、
平月で、利益を生み出していくためには、今現在、店舗であまりにも時間がかかりすぎている業務を見いだし、その生産性を引き上げ、使える資金を増やす、ビジネスモデルへの切り替えが必要となります。
詳しくはセミナーでお伝えしておりますが、
時間をとられている業務の見いだし方ひとつによって、企業の人時生産性は変わります。
さあ、貴社では、まだ、瞬時の売上にこだわりますか?それとも365日儲けることにこだわりますか?
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