社長の言葉、自分で発信するのか誰かに頼むのか―オリジナリティこそが命―
私がお勧めしているコンサルティングは、社長が自分の言葉で情報発信できるようにしようというものです。自分の言葉で発信するということは、まず、ある程度まとまった、しかもちゃんと主張なり独自のメッセージのつまった文章を作成しなければなりません。おそらく、このハードルはとてつもなく高いと感じるのではないでしょうか。
以前も書いたことですが、しゃべりの達者な或いはスピーチの上手な経営者はそれなりにいらっしゃいます。しゃしゃり出てしゃべりたがる人もいるくらいです。しかし、ある程度まとまった分量の、しかもちゃんと内容の吟味された文章を書いて下さい、と依頼されれば大抵の人はしり込みするのではないでしょうか。
これは経営者に限ったことではありません。文章を書くのが大得意という人は世の中にほんの一握りしかいないでしょう。まあ、それは仕方のないことだとして、そうするとどんなことが起きるでしょうか。
そんな背景があると必ず「私が代行いたしましょう。」という人間なり仕組みが出てきます。外注(アウトソーシング)受けますよ、という奴です。HP(ホームページ)などの運営で、自社のHPがあまりに動かないようであれば、代わりにメルマガの配信や業界ニュースの配信など行ないますよ、といった業者は数多くいます。これと同じようにおそらく文章の代筆も探せば見つかるのではないでしょうか。
先述のように文章を書くのが苦手な経営者が「わかった。情報発信がそれほど大事なのならば、そういう手を使ってもいいんじゃないか。」と考えたとしても不思議ではありません。確かに何も情報発信しないよりは、その方がはるかにましであることは間違いないと思います。
しかしちょっと待ってください。そういった初めから他人の作ったものというのはどうなのでしょうか。おそらく形は一見きれいに見えるかも知れませんが、何か物足りない、何か作り物、既製品、画一化商品の匂いがする、とならないでしょうか。
私が経営している別会社でも、そこのHPでは他社と契約してメルマガやニュースの配信を行なってはいますが、さほど効果はないようです。幸いにしてそのHPは自分たち自身でかなり動かしていますので、他社制作のメルマガやニュースは添え物的な役割となり、利用の仕方としてはちょうどいいポジションと言えましょう。
これが全く自分たちで動かしていない中での他社頼りであれば、独自性が見られないほとんど死んだも同然のHPとなってしまいます。つまり、情報発信はいかに自分で行なうかが大事なのです。
文章がギクシャクしていたり、表現が多少拙くても社長が自分で書いた、というところが肝心なのです。とはいえ、それがとてつもない高い壁のように思われてはそもそも何も始まりません。最初のコツを掴むまで、プロと一緒に取り掛かるということも一つの手です。
ここで安心してほしいのはいつまでも社長一人の孤独な戦いではない、ということです。社長が頑張って情報発信を始めれば、社内にそういった雰囲気が生まれ、必ず社内に協力者が出てきます。発信し続けるには、どうしても様々なネタが必要になってきますので、その身内の協力者に情報の収集や整理といった作業的なことは部分的に依頼すればいいのです。
私は、社長とこういった取り組みが一体となった社員であれば、やがて情報発信の代行を一分任せてもいいと思っています。何故ならば、社員はこっち側の人間だからです。例えこういったことに習熟したプロであっても、外部の人間に依頼するのとは根本的に違います。あくまでも、こちら側の取り組みと責任で発信するという姿勢が大切なのです。
既製品で行くのか手作りで行くのか、或いはそのミックスを工夫してみるのか、いずれにしても情報発信を始めることこそが大事なのですが、最初から他人に頼るとい姿勢だけは慎んでください。
社長の肉声こそが最も独自性に富んでおり、他者から見ても興味深く面白いのです。
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