社長の本気を伝えるために、社員の声に真摯に耳を傾けるべき理由
「お客様の役に立ちたい」
「お客様に喜んでもらいたい」
日々、このように感じて仕事に向き合う社員に育てたいと考えている社長はたくさんいます。これらを会社のミッションにしている企業が多いことからもわかります。言うまでもなく。お客様に喜んでもらうためには、柔軟なコミュニケーション能力や思いやりの心など、相手を配慮する話し方、伝え方などが求められるのです。
これを実践しようにあたり見過ごせないのが、社員が持っている心理的葛藤です。例えば研修で接客トークなどを学び、それを実践する重要性と必要性について理解したとしても、実際に「やってみる」という行動に移すこととは大きな差があります。さらに、「出来る」というのは、何度かやってみるという試行錯誤の中でようやく出来るようになるわけですから、ハードルはだいぶ上ということになります。
また、丁寧な接客や、イレギュラーな依頼への臨機応変の対応などは、相手の気持ちを慮る気持ち、それらを受け入れる気持ちの余裕が根底にないと、上辺だけマニュアル通りの対応となることもあり、お客様には簡単に見破られてしまいます。
お客様の役にたって喜んでもらうためには、相手から「自分は客として大切にされている。」と感じてもらわなければならないのです。ですが、人間は、自分がされている以上のことを相手にすることはとても難しいものです。
つまり、社員が職場で「自分は会社から大切にされている。」という実感を持っていないと、お客様を大切に扱うということは非常に難しいということです。難しいというのは、スキルとして難しいのではなく、心の問題としてです。
頭では理解していても、「出来ないと感じてしまう」「わかっていても、やろうという気持ちになれない」などという心理的葛藤が存在するということです。
これを解決するためにはまず、社員が「会社から大切にされている」と感じる必要があります。
社員が会社から大切にされていると感じるためには、給与や労働環境が良いというだけではなく、日頃から「自分たちが尊重されているか」と実感してもらわなければなりません。尊重されていると実感してもらうには、社員の声に耳を傾けることが重要になってきます。
商品開発やマーケティングの段階で、消費者アンケート調査やインタビューなどを行うことがありますが、同じように社員の声を真摯に聞くということです。あるいは社員が、業務改善や制度導入に関し自由に提案できる機会を提供するということです。
前職時代、CSR(社会貢献)プロジェクトの一環として、営業車を環境にやさしいエコカーに買い替えた場合、その費用の一部を会社に負担してもらいたいとプロジェクトチームで提案したことがあります。導入にあたっては一部条件が付きましたが、正式に制度として認められました。
社員の声を聞くというのは社長にとっては怖いことでもあります。不平や不満、批判だけがマグマのように噴出することもあるからです。ですが、それをじっと耐え、社員と対話を続けていくのです。そして、要求や提案に対してはまずはオープンに聞くという態度を示す、良いアイディアは積極的に導入するなど、社員を尊重する態度を示していくと、必ず社長の本気度が伝わります。
「会社から大切にされている、尊重されている」ことを実感している社員は、お客様を大切にすることの本質がわかっています。尊重するということが何を意味するのかわかっています。自分たちがすでに経験しているからです。
お客様に愛される、喜んでもらうサービスや商品を提供する企業として認められたいのなら、その一歩として、社員の声に社長自ら真摯に耳を傾けるべきなのです。
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