140種類の商品を売る、1種類を140個売る、どっちがお得?
「販売個数は3個の商品なんですけど、販売員に、これを買いに来るおばあちゃんの顔が目に浮かぶと言われて、やっぱり削れないんです。
えっ、客単価ですか?その3個を買うお客様の客単価が、他のお客様より高額になるか?ですか。購入頻度が多いか?ですか。それは…、調べてみないと…」
こんな商品があったら、もっとお客さんは買ってくれるはず。
販売が好調な会社では、お客様の要望を聞く、社内の工夫を取り入れる、そうすると自然にラインナップがふくらんで行きます。
主力商品の購入に、ついでに購入していくお客様もあり、売上は伸びていきます。
自社ブランドで、新たな商品がふえていく、社長にとって嬉しい話はありません。
自社の商品が、周りにいっぱいです。
特に食品は、その風味を変えることで、多彩な製品を作り出します。
スーパーマーケットの棚が、同じ種類の製品であっても、たくさんの商品ブランドで埋まっているのは、そのためです。
自社製品がふえれば、売り上げは?
販売製品種類が増えれば、当然ふえるでしょう!
だって、今までのお客さんが、新しいモノを買ってくれるはずだからです。
さて、このお店では、140種類の自社製品が、店舗に並んでいます。
どれもお客様の支持がある商品です。
もっとお客様に支持されるように、繰り返しの努力が、形になって並んでいます。
例えば100円の商品を140個単品で販売すれば、
売上は、一日あたり 100円×140個 = 14000円
それが、140種類の製品であれば、どうでしょうか?
お客様が平均3個の購入であったと考えると、
売上は、一日あたり 100円×3個×140種類=42000円
実際には、一種類あたり20個を最低ロットとすれば、完売で280000円の売上です。
やっぱり種類が多い方が、儲かる!
儲かる!は、利益を計算して分かる事です。
売上だけでは、儲かっているかどうかはわかりません。
140種類の製品を作るのは大変な作業です。
製品は種類ごとに材料が違います。
製品は種類ごとに、作業工程が違います。
製品の中には、製造環境自体を、特別に整える必要がある場合もあります。
待機時間、段取り時間、製品を直接製造する以外の時間は、さらに製品の数に比例して加速度的に多くなります。
想像して下さい。
机の上にいろはカルタを並べ、一枚取るだけでゲームを終了し、次はトランプ。
そしてその次に、トレーディングカード、あなたは混乱していきます。
それぞれのカードの枚数はちがいます。
それぞれのカードが混じらないように、気をつけなければなりません。
カードによって勝ち負けのルールは違います。
製品の製造過程でも待機・段取り時間が、必要になるのは、混乱を防ぐためです。
材料が混じったり、行程を取り違えたりすれば、イイ製品はできません。
一種類の生産販売では、一人の人件費で製造から販売まで行えます。
140品種製造では、数種類に行程を分け、行程ごとに人を入れて、製造を行います。
さらに、販売、営業、経理、管理と、一個の製品にかかる人件費はふくらみます。
仮に一日280,000円の売上があるこの店舗に30人の人が関わっているとすれば、
PerHead (一人あたり)売上 280000円÷30人=9,333円
一種類140個単品販売
PerHead (一人あたり)売上 14000円÷1人=14,000円
一種類で140個単品販売の店舗の方が、生産性が高い=お得 です。
「多いこと」は、「少ないこと」に通じる、と言われます。
コロンビア大学シーナアイエンガー教授が行った「ジャムの実験」でも、商品の絞り込みの大切さが、証明されています。
300種類ものジャムをおく高級食料品店での実験の話です。
24種類のジャムの試食を行った時、来店客の60%がこのコーナーに、立ち寄ったのです。
6種類のジャムの試食を行った時、来店客の40%しか立ち寄りませんでした。
しかし、試食の後実際に商品を購入したのは、24種類のジャムの試食をしたお客様の3%、6種類のジャムの試食の時には、試食客の30%だったと言います。
24種類の場合は、実際に購入したのが、100人×60%×3%=2人
6種類の場合は、実際に購入したのが、100人×40%×30%=12人
品揃えが豊富すぎると、逆に売上が下がる。
商品を絞ると、売上は上がるのです。
製品ライン拡張の原則は、経費が増えて売上が下がる、と教えてくれます。
解毒剤は、商品を絞り込む勇気+ノグチ経理のキラー指標です。
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