スタッフに財務状況を開示すべきか
人財育成では直接的な指導法や細かいスキルも大事ですが、それよりも先にお互いの関係性をしっかりとつくりあげることが肝要です。
そうでなければ誰もあなたの話は聞いてくれません。
それどころか、関係性が無ければことあるごとに反発するのが当たり前になるでしょう。
その関係性、つまり信頼関係をつくるうえで重要なものの一つとして挙げられるのがスタッフに対し、会社の業績を開示することです。
財務状況を開示することともいえます。
売上だけではなく、そこにかかった経費や、利益は出ているのか、またその利益をどう分配しているのか、などを皆がわかるようにオープンにするということです。
皆が財務諸表を読めるならば、そのまま開示してもいいでしょう。もちろんその内容の説明は誤解の無いようにしっかりとする必要があります。
ただ、損益計算書や貸借対照表をきちんと読めるスタッフはまれではないでしょうか。
経営者レベルですら、
「その辺は税理士に任せているので全くわからない」
「だいたい把握していれば大丈夫」
「経営者の仕事はそんなちまちましたものじゃない」
「経営者の仕事は方向性を示し、決断をすることだ」
という声があらゆる方面から聞こえてきそうです。
もちろん簿記まですべて理解して細かい取引を把握することはないですが、経営者自身は自分の会社の財務諸表くらいは理解しておかなければ正しい方向も決断もあったものではないでしょう。
たしかに経営者の仕事はスタッフに対し、方向性、つまり将来を見せることは最重要な仕事の一つではあります。
しかし初年度ならともかく、開業から数年たっても自社の業績をおおざっぱにしか理解していないのであれば、ズレた方向に、ズレた決断をする可能性は相当高まります。
加えて経営者が財務状況を把握していなければ、まず間違いなく開示することはありません。
自分がわかっていないものを、自分が雇っているスタッフに対して見せる人はいないでしょう。
見せたらどうなるか…怖くてしょうがないですよね。
とにかくまずは経営者が財務状況を理解しておくことが大前提です。
そのうえで、スタッフに対してはわかりやすくかみ砕いた説明をする場を設ける。
そして徐々に損益計算書や貸借対照表に慣れてもらい、その読み方を教えていく。
こうすることで何が変わるのか。
まず全体が見えることで、経営者視点を持つことができます。
自分の店のことだけしか考えていなかったのが、全体の中の一つの構成要素として見ることができるようになります。
次に危機感が生まれます。
もちろん会社の業績次第ですが、右上がりの状況だったとしても、むしろそちらの方が意欲が高まっていますので、このままじゃだめだ、どういう手を打てばいいのか、と考えやすくなります。
さらに問題点を自分で見つけるようになり、解決策を考え、それを実践していくと言った自律的な働き方ができるようになります。
これほど効果的な人財育成があるでしょうか。
経営者自身にやましいところが無ければ、自社の財務状況を公開することに何ら躊躇することはないはずです。
最初からすべてを公開するのは難しい場合は、少しずつでも開示していくことで、スタッフとの信頼関係は確実に高まっていきます。
“透明性”は信頼関係には不可欠です。
わからないものは誰からも信用も信頼もされません。
あなたの会社では財務状況を開示していますか?
都合の悪いことを隠していても、スタッフには必ず漏れ伝わります。
どんなに都合の悪いことでも素早くオープンにできることは繁盛店になるための必要条件なのです。
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