社員の働きがいは会社の業績に関係ないのか?
「今、ワークライフバランスをはじめとする社員の働きやすさや、仕事にやり
がいを持ってもらう働きがいのある職場環境づくりの大切さが言われていますが、会社の業績には直結しないのではないかと思うのですがねえ・・・」
ある中小企業の社長さんから上記のように声をかけられました。正直なところ、「あ、またこの手の質問ね。」と心の中で感じつつも、話を聞いていくと、「うちの会社は今、職場環境改善まで手が回らないんですよね。まあ、実際のところ、費用もかけられないというか。」と言い訳まで聞くことになってしまいました。
社長の考え方は様々ですし、そもそも職場環境改善に対して「業績には関係ない」「コストにしかならない」と考えている方もいる一方で、「顧客満足」の前に「社員満足」が必要、だから職場環境づくりは社長の大切な仕事、覚悟を決めて取り組むべきことだと強い意志を持っている方もいらっしゃいます。
また、「働き方改革」の名のもとに、長時間労働を削減し、子育てや介護と両立しなければならない社員が利用しやすい「テレワーク」などの制度を積極的に導入している企業が増えています。他にも評価制度の見直しや研修の充実など、企業が様ざまな取り組みや制度を実施することにより、仕事を辞めずに、またプライベートな時間も確保しつつ仕事を続けられる。まさに、「働きやすい」「働き続けることができる」職場です。
ですが、この「働きやすい」職場であることと、社員が「働きがい」を感じていることは、似ているようで実は別ものです。働きやすい職場ではあるけれど、働きがい、働く意欲を持てずにいるという場合も、もちろんあるからです。
では、社員に働きがいを感じてもらうためには、どうしたらよいのか。
当社では、社員の心の状態をアクティブメンタルな状態にすることが大切であると考えています。そのためにお伝えしているのが、社員の心が3Cであるということです。
その3Cとは、
Control ……………気持ちのコントロールが可能
Confident…………自信がある(健全な自己効力感)
Commitment ……責任を持って関わる
という状態です。
気持ちのコントロールが可能というのは、例えネガティブな気持ちになってしまう仕事上の出来事や人間関係のトラブルがあっても、前向きに気持ちを切り替えられるという意味です。そして、仕事に対して自分にはできるという自己効力感を感じ、責任をもって関わること。
心が3Cの状態で安定し、仕事にやりがいを感じる社員は、さらに以下のように行動が変化していきます。
Positive……………前向きになる
Powerful…………活力がある
Potential…………可能性がある
Proactive…………積極的になる
与えられた仕事をこなしていくだけ、という姿勢とは真逆です。このような状態になると、自らの仕事に誇りと情熱をもって取り組むようになるのです。
ただし、これらは言うのは簡単ですが実践するとなると難しいものです。特に「こういう状態が大切だから、自分で努力してね」とそのまま社員に投げてしまうと、反発もあり必ず失敗します。研修を導入し、その後、一時的に前向きになったとしても、長続きしなければ職場は変わりません。
そのためには、職場の意識と行動を変える必要があり、職場で習慣化できるよう工夫が必要なのは言うまでもありません。
さて、ここで冒頭の社長の質問に戻りましょう。
職場環境改善は会社の業績とは関係ないのか。いえ、社員がいきいきと熱心に仕事に熱中し働きがいを感じている場合は、大いに関係があるのです。別の言い方をすれば、自社がどんなに良い商品やサービスを扱っていたとしても、やりがいを感じていない社員が扱っていたのでは、その結果が違ってくるということです。
職場環境改善を必要ない、業績に関係ない、コストでしかないと考え、なおざなりにしているならば、いくら商品開発、マーケティング、営業に力を注いだとしても、それを行う社員が「働きがい」「やりがい」を感じていなければ、どうなるか。
社員が働きがいを感じる職場づくりは、会社の業績、存続に大きく関わっているのです。
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