社長が「絶対に仕事はしない!」と言う、こだわりどころとは?
先日、IT系企業の経営者の方々へお話しをする機会がありました。社長としての印象マネジメントをするなかで、ご自身の経験や現場でのお話しを伺っていたところ、人がもつ“こだわり”の強さ、そして、それが実際の仕事へ与える影響の大きさを改めて感じたことがありました。
人間の場合、五感のうち、視覚から受ける影響が高いことは広く知られています。そのため、「見た目が大事」「第一印象は服装や身だしなみに気を付けましょう」、というのが一般的です。弊社のコンサルティングでは、そこで完了ではなく、その後の“4分間”で大きく変化がありますよ、ということを独自の印象形成としてお話しをしています。事例を用いた説明にみなさん、納得してくださった様子でしたが、ある社長様からこんな声がありました。
「私は、靴を見ます。靴が汚れている、傷んでいる、そんな人とは、絶対に仕事はしない!と決めています」
見た目意識の高い、とくに男性には、靴にこだわる方が多くいます。しかし、靴を見て、それで「仕事をしない!」とまで言い切るのは、あまりにも極端な意見に思えました。こうした個人の感覚や嗜好によるそれぞれの判断基準は、これが正解、不正解と言えるものではありません。いつもならば、こうした意見の方もいらっしゃる、とするところですが、この後に続く、こちらの社長のここまで言い切る理由を聞くと、こんなところにも仕事のチャンス・ロスがあることに改めて気付かされました。さて、ここまで気にしている社長は、実際には、どれくらいいるのでしょうか?
「絶対に仕事はしない!」と言い切る理由。それは、その当事者である社員一人の問題ではなく、社長の問題だと言います。これから顧客になる、取引が始まるかもしれない企業、担当者のところへ、そもそも汚い靴を平気で履いてくる営業に大きな問題があるのはもちろんですが、そんな汚い靴を履かせて行かせる上司、ひいてはその企業の長である社長の意識に問題がある、と言い切ります。これはこだわるポイントが違うことの一つの表れであり、汚い靴を履いて平気な会社が、自分たちが求めるクオリティを満たす仕事をしてくれるとは思えない、と判断する、と言います。
「そんな靴を履かせて、営業に行かせる社長の会社とは取引はしない」
極端な言い方かもしれませんが、単なる営業の見た目や身だしなみの問題ではなく、これは顧客へ対する配慮、企業としてのあり方の表れだと、という考えには納得できます。
「技術力が高ければ、それだけでいいじゃないか」という企業とは、自分たちは一緒に仕事ができませんーー。技術力は当たり前であり、プラスアルファとして求めるものが同じかどうか、が重要だということです。
こんな話を聞いていると、何てガンコな社長・・・と思いますが、その一方で、意外にもこんなリカバリーが可能とも言っています。
「汚い靴の営業は、初回でアウトなので、二度と会うことはない。ないとは思うが万が一、もう一度、会う機会があって、そのとき、きれいな靴だったら・・・・・・そこから始まりことはあり」。
靴一つでそんなに変わるものか?と思われるかもしれませんが、靴に表れているやる気の表れ、と言われたら納得しませんか? 手入れされたきれいな靴で来ていれば、自社へ来ることに気合いを入れてきている。その逆に、傷んで汚れた靴で平気で来ているのであれば、どうしても取引したいとは思っているとは思えないーー。こう考えるのは、相手の本音と大きく違っていない気がします。
こだわりどころは人それぞれですが、気になるところはここまで見られているものです。社長ご自身の心配はないとは思いますが、部下の方の靴一つで結果が違ってくることもなきにしもあらずです。
社長ご自身はもちろんですが、御社の社員の方は・・・・・・大丈夫ですか?
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