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「チェーン経営に於ける机上コストカットの末路」

SPECIAL

人時売上改善コンサルタント

株式会社 レイブンコンサルティング

代表取締役 

儲かるチェーン店をつくっていくには、時代はいま、「画一化」から「個店力最大化」へと変わっている! 多店舗展開するスケールメリットと、一店一店の魅力を強くして収益力を圧倒的に強くしていく実務とは…。

「先生、うちは2人体制でやってるのでこれ以上は 削れないですよね」

と、半年ほど前にお見えになった、あるチェーンの経営者からのご相談です

―――2人の根拠はなんでしょうか?

「いやあ、その昔のある研修会社から、必要最低人数でやるべきだ、と言われずっと2人やってるんです」とのこと

―――は?ん?研修会社の人から言われて2名にしたんですか?

部下の方もいらしたので あまり厳しくは申し上げませんでしたが、そんなこと言われた時点でおかしいと気づかないことが問題と言えます。

これが業界の水準だとか、このくらいの規模は何人が妥当だとか、というのは机上論で、何の数値的根拠があるわけではありません。しかし、情報の少ない中小経営者にとってみれば、それがあたかも本当のように聞こえるものでして、その一言が頭から離れないまま、その言いなりになって、経営を厳しくさせてしまったのです。

そして、必ず口にされるのは

「売上さえ上がればすべてが解決するんですが」のひとことです。

―――そんなことは、社長でなくてもだれでも10人中9人はそういいます。

業界水準とか、規模とかは、企業の個性によって当然異なってくるわけで、そもそも、自社の基準さえあれば、こんなことに惑わされることもありません。

問題は、2人でやってるからもうコストは削れないため、売上を上げるための販促手段に頼る、それが人時生産性を低下させ、儲からない構図をつくっているのは紛れもない事実です。

人でいえば、これは良くない体質であって、改善をしていかなくてはなりません。悪い体質というのは、細胞の質が良くないということです。

その中を流れるのが血液で、血液の質がよくならないと体質はよくならないのです。

血液は、水と空気と栄養で成り立っています。

水は、きれいな水を飲む習慣、大気汚染されたとこではマスクを着用する、栄養は偏った食生活をしない。

人間でいえばこういうことになりますが、企業も同じです。

企業の細胞とは、個人の業務の質のことです。その中を流れるのが情報で、それは、企業内に取り込まれ、人を通して組織に運んでいきます。

つまり、情報の質がよくならないと、体質は良くならないのです。

前職の西友が、経営危機から、回復し黒字化した理由のひとつに、役立つ情報を取り入れる習慣、お互いを褒めたたえ尊重するカルチャー、無駄の多い業務をしない仕組み。

といったことをグローバルの先進企業から学ぶことが出来たからと言えます。

「それは 大手だからできたのでは?」という声が聞こえてきそうですが、その当時は、繰り返し行われたリストラで人材は枯渇し、資金力はゼロというよりは巨額な赤字をかかえ、八方塞がりの状況でした。

つまり、資本力とか人材に関係なく、社長の意志ひとつで、業務改革を通して企業体質を変えようと思えば、経営のかじ取りはできると言うことです。

それまでは、売上拡大だけを目指し、ムリな出店を続け、その為に、既存店の利益は消えてなくなり赤字が続きました。

ちょうどそのころ先の企業が受けていたような、研修機関のアドバイスを受けてしまったため、仕組みを持たぬまま、僅かの人員で運営する状態が続き、経営は益々悪化していったのです。

外資提携後は、グローバルな視点での専門家のアドバイスをうけることで、そういった研修機関の曖昧な情報とは一切かかわることがなくなりました。

このタイミングで体質改善をしてなかったら、衰退の一途をたどり、今頃はなかったと思います。

机上論しか言わない研修機関の指導を受ければ、当然ですが、そこから情報を得た経営者も同じようなやり方をし、企業体質は変えるどころか、現状維持もおぼつかない状況に悪化していくということになります。

一方で、成長しようとしている企業の共通点はというと、むしろ売上に頼ろうとせずに、人時生産性の一点に着目しています。そのために経営自らが現場に目を向けています。

事実、非効率業務ヒアリングをやった企業からは、「これは出来てるはずなのに、どうしてやり方が徹底できてないのか?」とか「よかれと思って投資したのに改善になっていなかった」等、社長の知らない世界が無数に洗い出されるため、その活動に注目が集まります。

改善を進めても、改善すべき事項は、アメーバのように、カタチを変え、増え続けるため、「改善に終わりはない」と皆さん異口同音に言われるのはそのためです。

トヨタの乾いた雑巾をさらに絞る、という言葉があるように、乾いた雑巾はすぐに湿気を含むからまた絞る。一度、取り決めたら改善は終わりではないということですが、これなくして改革はありえないのです。

売上が欲しいのではれば、店舗を増やし、売場を増やし、品揃えを拡大することが必要です。

また、利益が欲しいのであれば、人時を儲からない作業から儲かる作業に組み換えをしていくことが必要になってきます。

当然のことですが、企業が成長するためには、先にコストが発生します。商品であれば先に仕入れが発生する。

それを早回しするシステム投資も当然かかるわけで、タダで儲かるビジネスは世に存在しません。

そのためには、その一連の流れに投資する資金を準備するために、標準体で利益が出せるようにしておくことが大前提となります。

ところが、前出の企業のように、ゴリゴリのコストを削ってしまってから 後どうしましょう?といったところで、後の祭りです。

もし、一言申し上げるとすれば、成長に必要な資金を用意し再投資しなくてはならないということです。

しかし、大事なことは、なによりも、大きな病を患ったあとは、良い環境で養生し、そしてリハビリをして体力を回復させることです。

企業も同じで、よい情報を取り入れ、標準体で利益がでるようにしたうえで、体力回復させていくしかないわけで、その手順を踏まなければなりません。

ビハインドからの出発ですが、チャンスはこれからと言えます。

さあ、あなたは、今のまま売上があがることを祈りますか?それとも、健康体にして利益を増やす道を選びますか?

 

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