独自カリキュラム開発に必要な「法則化」とは?
「名選手は名監督にあらず」との言葉通り、素晴らしいプレーをする人物が必ずしも素晴らしい先生になれるとは限りません。自身の「経験」を「法則」に転換しなければ、能力の異なる生徒を成長させることは難しくなります。
あなたの「経験」を「法則」に転換しよう
あなたに素晴らしい経験があっても、ご自身の「経験」をそのまま生徒に伝えるだけでは、能力の異なる生徒たちを成長させることは難しいはずです。生徒の成長を促すカリキュラムは「法則」になっています。
法則とは「いつ、どこでも、一定の条件のもとでは成立する関係」のことです。
例えば、テニススクールであれば、どんな生徒でもレッスンに一定期間通えば、テニスのラリーができるようになることが「法則化」されたカリキュラムです。もちろん、生徒の運動神経によって上達に個人差はあるでしょう。その中でも、法則を見出し、強化していこうとする日々の研究が大切です。
「法則化」されたカリキュラムが生徒を成長させる
「法則化」の重要性を実感したエピソードを1つご紹介します。私は大学生の頃、テニスコーチのアルバイトをしていました。その時に出会ったのが、どんな生徒の悩みもマジックのように解決してしまうTコーチです。ある時、Tコーチのレッスンに、ストロークがうまく打てず悩んでいた生徒が参加しました。その生徒は、高いお金を払って元プロテニスプレイヤーに習ったにもかかわらず、なかなかストロークが改善しなかったそうです。
元プロでも直せなかったその生徒に対しTコーチは、「相手のラケットにボールが当たった瞬間を見てごらん」とポツリと一言アドバイスをしました。
一般的には打ち方を改善するのに、なぜそのようなアドバイスをするのか私には不思議だったのですが、Tコーチのアドバイスを聞いた生徒は、いとも簡単にストロークが打てるようになったのです!Tコーチは、相手のラケットにボールが当たる瞬間を見ることで、体が素早くボールを返すための準備体制を取るという運動の法則を「経験上」知っていたのです。そしてそれを、指導の「法則」に変換した言葉で伝えたのでした。
これが、「ボールが来たら、こんな感じで打てばいいよ」などの曖昧な教え方では、生徒の問題は解決されなかったかもしれません。
「経験」を「法則」させるステップ
では、どうやって「経験」を「法則」に変換するのか?方法はシンプルです。紙とペンを用意して、あなたの「経験」を全て書き出してみてください。
「テニスのダブルスで優勝した」、「日本にいながらTOEFL100点を取得した」といったものです。続いて、どうやってその経験を得たのか、方法を探ります。例えば、「英単語を覚えるために、単語カードとCDを使って、声に出しながら毎日10個の単語を覚えた。」などです。
本当に小さなことでも漏らさず書き出しましょう。
この時、インターネットや本を調べることは禁止です。なぜなら、インターネットや本は、あなたの経験ではなく、他人のノウハウだからです。
あなた独自のカリキュラムを引き出すこのプロセスは、外部の情報を遮断して、自分に向き合いましょう。記入し終わったらそれを眺めて、「いつ、どこでも、一定の条件のもとでは成立する関係」、つまり「法則」を探ります。
その結果、あなた独自の、より生徒の成長を促すカリキュラムが出来上がるのです。法則化されたカリキュラムのメリットは他にもあります。
いつ、どこでも、どんな時も一定の水準で指導が行えるため、スクールの教師を増やしても、指導力のバラツキが抑えられます。今回は「経験」を「法則」に転換する大切さと方法をお伝えしました。
3つの注目ポイント
- 「経験」しただけでは人に教えられない
- 法則化されたカリキュラムが生徒の成長を促す
- 「経験」を棚卸しして「法則」を見つける
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