キラーサービスで儲けるための2つの条件
弊社では社名のとおりクライアント企業における「キラーサービス」の開発をご支援しておりますが、「キラーサービス」という言葉が聞きなれないため、どういう意味かとよく聞かれます。
「キラーパス」とか「キラーコンテンツ」というような言葉もありますが、「キラー〇〇」とは「驚異的な…」「ものすごい…」「他を凌駕する…」「決定打となるような…」という意味であり、また敵にそれをやられてしまうと非常に痛手となるようなものを指します。
つまり「キラーサービス」とは、まだ競合他社もやっていない、その企業の強みの決定打となるようなサービスであり、お客様の困りごとを解決したり、お客様に高いベネフィット(利益や利便性)を提供できるようなものです。
具体的には、特急対応や深夜対応、小ロット対応、設計支援や技術指導、営業支援、現場対応、VIP対応などといった、通常ではない「特別対応」、「イレギュラー対応」のサービスの開発をご支援しています。
上記のような対応が「キラーサービス」として他社と差別化する決定打となり、また通常よりも大きく儲けるようなものになるためには、2つの条件があります。
一つ目は「他社がまだやっていないもの」である必要があります。例えば特急対応サービスを打ち出したとしても、その業界では特急対応というのは当たり前でどこでもやっているとしたら、それはキラーサービスでもなんでもありません。名刺の当日印刷などはそうですね。
二つ目は「お客様の未解決な課題を解決するものであること」でなければなりません。あるいは「まだ満たられていないニーズをみたすもの」という言い方もできます。いくら短納期や小ロットで提供したとしても、それがお客様に大きなメリットを与えるものでなかれば意味がないということです。
多くの企業が、この二つの条件をみたす「まだ誰もやっておらず、かつ大きくお客様の役に立つサービス」を提供することができていない。というより、こういったサービスを提供する必要性に気づいていないというのが現実です。
では多くの企業が何を考えているかというと、製造業であれば「いい商品を提供しよう」、サービス業であれば「いいサービスを提供しよう」ということであり、皮肉なことにこれが「儲からない」原因となっています。
なぜいい商品やサービスを提供しても儲からないのか。それは「いい(良い)」という定義にしばられているからです。その業界で「良い」とされていることの発想から抜け出せないため、他社と似たような商品やサービスとなってしまうのです。
例えば製造業だとまだまだ「ものづくりで勝負」という発想から抜け出せていないところも多いです。しかし「製造・組み立て」はスマイルカーブの底辺、つまり付加価値が一番低い工程であり、いくら「カイゼン」などで製造工程の効率化を図ったところで、提供するものが買い手の期待をいい意味で裏切るものにはなりません。
サービス業でも同じことで、多くの企業がその業界で「いい」とされている、よくあるサービスを「親切丁寧」に提供するという意識から抜け出せていない。しかしお客様からすれば、そのサービスがミスがなく親切丁寧に実施されることはやはり「当たり前」「想定内」の範疇なのです。
例えば自動車教習所の業界では「安くて早い(予約が取りやすい)」ことが「いい」とされていました。その常識を変えて成功したのが、以前の投稿でも挙げた武蔵境自動車教習所です。ここは言うなれば「卒業したくない教習所」。待合室には超大型スクリーンのテレビがあり、漫画があり、ドリンクは無料、酵素カプセルもネイルサロンも無料。スタッフは全員アロハシャツを着て非常に愛想がいい。教官は人気ランキングが張り出されており、指名予約が可能。通常より10万円以上高いVIPコースを選択すれば、コンシェルジュのいる専用ラウンジを利用できたり、人気教官を優先的に予約できたりします。まさに特別対応サービスで成功している例です。
法事の仕出し弁当で成功している「旬菜亭」は業界が目をつけていない「早さ」で成功した会社です。お通夜や葬儀の際の料理は人数が当日にしか確定しないために多めに発注するのが通例です。それを同社は「足りなかったら追加注文を20分で調理して届ける」という特急サービスを打ち出しました。当然通常より割高なサービスですが、利用者は多めに発注する分の予算が浮くため、お互いwinwinのサービスとなっています。
こういった業界の常識をくつがえすサービスを生み出すためには、自分が長年「いい」と信じていた「強みの軸」を捨てる必要が出てきます。この自己否定を乗り越え、従来とまったく違う新しい切り口で発想しなければ、他社を凌駕するサービスをつくることはできません。そのため弊社では、今までにない発想で独自のサービスを開発するための様々な「思考プロセス」の手順をご指導しています。
冒頭で書いたとおり、こういった「キラーサービス」は競合他社に先にやられていまうと大きな痛手となります。そしてその局面は突然現れる可能性があるのです。
逆に、業界で常識とされていることとは常に違う切り口で自社の事業を開発するプロセスが社内に定着すれば、他社と同質化し埋もれることなく、継続的に選ばれる会社となり、事業を発展し続けることができるようになります。
当たり前の「いい商品・サービス」をつくるという発想は捨て去り、顧客には「まさかそこまで!」、競合には「しまった!」と言わせる「キラーサービス」を提供していきましょう。
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