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御社が「いい会社」を目指してはいけない理由

SPECIAL

キラーサービス(特別対応の標準化)コンサルタント

株式会社キラーサービス研究所

代表取締役 

経営革新コンサルタント。イレギュラー対応を標準化することで、ライバル不在で儲かる、「特別ビジネス」をつくりあげる専門家。倒産状態に陥った企業の経営再建から、成長企業の新規事業立ち上げまで、様々なステージにある数多くの企業を支援。イレギュラー対応を仕組みで廻して独自の市場をつくりだす画期的手法に、多くの経営者から絶大な評価を集める注目のコンサルタント。

「いい会社をつくりましょう」-これは「日本一いい会社」と言われる伊那食品工業の社是です。テレビや書籍で数多く取り上げられているので、ご存知な方も多いと思います。私も昨年訪問させていただきましたが、本当に素晴らしい会社でした。

この伊那食品をはじめ、数多くの「いい会社」が紹介された「日本でいちばん大切にしたい会社」という書籍の影響や、また昨今のブラック企業への批判の流れもあり、「いい会社」づくりを目指す経営者も増えています。

確かに、社員が居心地がいいと感じる職場環境は非常に大切ですし、社員の動機づけにもつながります。

しかし、敢えて言います。ほとんどの場合、「いい会社」を目指すと失敗しますその理由は、社員の意識が内向きになってしまうからです。

多くの企業はこんな問題を抱えていないでしょうか。

  • 社員が指示待ちで言われたことしかやらない…
  • 社員が他の社員と協力して仕事をしない...
  • 社員が顧客に対して自社の都合を優先した対応をとってしまう...
  • 幹部も目先の仕事に追われ本来の経営陣としての役割を果たしていない…

これらの問題の原因は共通しています。それは、「社員の視点が低く、自分にばかり意識が向いている」ということです。

業績が伸びている会社は幹部も社員も意識は外に向かっています。顧客、競合、そして自社も含めたマーケットの構造を俯瞰した上で、顧客のために自分たちがやるべきことを考えています。また、個人プレーでやっていても結果がでないことをわかっているので、自然と発想が組織力強化や仕組み化の方向に向かっていきます。

上記のような「外を向いている」企業は私どもがご支援するのも非常にやりやすいのですが、実際は多くの企業が「内向きの意識」を持っており、お客様のためにならないことに労力を使ってしまっています。

そんな「内向きの意識」を抱えた社員に対して、社長が「これからは『いい会社』を目指そう!」と宣言し自分たちの働きやすさの追求を促したとしたら、もう結果は明白です。

そうです。社員の意識はますます「自分」に向いていく。つまり視点は上がるどころか下がる一方となり、本来見るべき「顧客」や「市場」から意識がどんどん遠ざかってしまうのです。

こうなるとどうなるか。冒頭で例を出したような社内の問題は一向に解決されず、社員が喜ぶような制度はいくつか導入してみたものの、社員は全然幸せそうではない。当然業績も上がらないから社長も社員に感謝できない。そんな、まったく意図と反する状態になってしまう可能性が高いのです。

このように、安易に「いい会社」を目指し、それを目的化してしまうと結果的には目指す姿からどんどん遠ざかってしまいます。

ではどんな会社を目指せばいいのかというと、それはズバリ「変な会社」です。人は通常「変」という言葉にネガティブな意味合いを張りつけていますから、「変な会社」を目指そうと言われても納得いかないかもしれませんが、「変」とは「変わっている」ということですから、「他社と違う」つまり差別化されているということです。

伸びている会社は自社ではなくマーケットの構造を見ていると書きましたが、「変な会社」を目指そうと思ったら自然と競合や顧客のことを理解するはずなんです。いくら自分は「これが変」と思っても、それが顧客の想定内だったり、すでに競合がやっていたりしたら「変」ではないからです。

実際、選ばれている会社は変なことをやっています。小売業を例にとってみても、例えばドン・キホーテはわざとぐちゃぐちゃな陳列にして宝探しのような楽しみを与えている。イケアは店内の長い距離を歩かせ、重い家具でも自分で運ばせることによって、買い物をアトラクション化している。ニトリは業界に先駆けて製造と物流の内製化をすすめて大幅コスト低減を実現している。

要するに成長企業は他社と違うことをやっているということです。こう書くとあたりまえのことのようですが、多くの会社ができていない。その理由は、漠然と「お客様にとっていい会社」を目指してしまっているからです。

過去の投稿でも書いていることですが、競争に打ち勝ち事業を成長させるためには、お客様の期待を根本的に裏切る必要があります。お客様にとって「いい会社」など想定の範囲、当たり前ということです。他社よりちょっといいところがあるとしても程度問題。すぐに真似されてしまいます。

冒頭でご紹介した伊那食品の社是「いい会社をつくりましょう。」は実は「たくましく、そしてやさしく。」という言葉が続きます。この「たくましく」がポイントで、同社は社員の生活を守るためにも「価格を下げずに輸入品との競争に勝つ」ための様々な施策を打っています。内向きに「いい会社活動」をやっているのではありません。

自らのあり方は自分以外の他者との関係性の中で定義されるものです。自己陶酔的な「いい会社」を目指してもお客様に影響を与えることはできません。真にお客様に貢献するためにも「変な会社」「ありえない会社」「えげつない会社」を目指していきましょう。

 

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