財務を知らない社長が間違った借り方・返し方をする理由

よく色々な社長さん方から「無借金経営にするのが夢です」とか「ウチの会社は、絶対に借金しない主義なんです」という話を伺いますが、真に会社の成長・発展を願うのであれば、借金はむしろ上手に活用すべきものというのが当社の考えです。なぜなら、借金は、自己資金を貯めるための「時間」を買うというのが本質だからです。
潤沢に自己資金があるというのであれば話は別ですが、例えば、1億円のお金を貯めようと思ったら、毎年1,000万円のお金を貯めたとしても、最低10年はかかります。それに、毎年1,000万円のお金を貯めようと思っても、これらは当然、税金を払った後のお金という話になりますから、税負担を考えても、ザックリ1.5倍の1,500万弱の利益を10年間継続的に稼ぎ続けなければならないという話になるわけです。
したがって、自己資金をコツコツ貯めて内部留保を厚くするという考え方ももちろん大事なことですが、真に将来の利益に貢献するものであれば、借金のチカラを使って時間を買う、先行投資をするという決断も時には必要になってくるものなのです。
しかし、だからといって、何でもかんでも借金のチカラで解決しようという話ではありません。資金繰りのために借金を重ねるとだんだんお金に対する感覚がマヒしてきて、気が付いたら財務はボロボロ、会社は「成長」どころかむしろ「衰退」の一途を辿ってしまいます。
私自身も前職時代にそのような会社をたくさんみてきました。したがって、借金は、一種の麻薬のような要素をはらんでいるものなのです。「財務」を知らずして、借金を間違ったカタチで使ってしまうと会社を潰してしまうことだってあります。したがって借金のチカラを上手に使いこなすための知識が必要なのです。
真に社長がすべきことは、会社の未来から逆算して、毎年今後いくらの利益が確実に稼げるのか、それが具体的に何年続くのかを数字で具体的に考えた上で、資金調達をすべきなのです。なぜなら、あくまでも借りたお金は、会社が返さなければならないからです。
大切なことは、「借りられる借金の額」で考えるのではなく、自社の未来から逆算して、「いくらなら問題なく返せるのか?」を社長が決めることなのです。銀行から借りるお金の金額、銀行に借金を返し続ける借入期間は、銀行が決めることではありません。あくまでもこれらのことは、社長が財務の視点から決定すべきことなのです。
ダイヤモンド財務®コンサルタント
舘野 愛
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