新商品を世に出す前の5つのチェックポイント
「新商品はやはり難しいですね。既存商品の売上を伸ばす方がまだ簡単です」
様々な業種でプロジェクトをご一緒する中で、このような愚痴(?)をよく耳にしています。
確かに、簡単ではありません。
でも、商品を売るのではなく、「新しい価値を世に問う!」という視点で取り組めば、これほどエキサイティングな仕事はありません。
今日は、この新しい価値を世に問う時の5つのチェックポイントを列挙して見たいと思います。
この5つのチェックポイントは、「イノベーション普及学」の中で提唱されたもので、私が波及営業という「経験から生み出した効率的な営業手順」を論理的にあっているか否かをチェックする際に使いました。
結果的にはバッチリ。
経験から学んだことは、この5つのチェックポイントに綺麗に当てはまっています。
その5つのチェックとは。
- 比較優位性
- 単純性
- 両立性
- 試用可能性
- 可視性
です。
具体的に見ていきましょう。
1の比較優位性は、今、自社商品と競合している商品を全てテーブルにあげて、顧客目線で「購入理由」を比較・評価することが大事。
価格、機能などを列挙して、顧客目線で、何が売れる要素で、何が競合に負ける要素になっているのか? 比較・評価をしていくのです。
2の単純性は、その新商品を購入するとどんなメリットがあるのか?どんな技術的優位性があるのか? が一瞬でわかることです。
例えば、カミソリの歯が5枚あるから、綺麗に剃れる!とメーカーはわかっても、買い手からみれば「なんとなくわかるけど…」とぼんやりとしたメリットしか伝わっていなかったりします。
なんとなくわかる…では、買い手は購買行動に移してくれません。
単純性というのは、事実だけを伝えるのではなく、どれだけ噛み砕けるか。噛み砕いたメッセージをどこまでシンプルに伝えられるか?が、これが成功のポイントになるわけです。
3の両立性は、買い手にとって、これまでの習慣を変えるのは「買わない理由」の大きなポイントなります。
例えば、ガン、糖尿、などの不治の病と言われているものは、「数ヶ月の絶食」で治癒されることが、かなり証明されてきています。
しかし、治る可能性があるのに、多くの人は「そんなの絶対に無理」と目を背けます。常識や習慣が邪魔をしているわけです。
ところが、両立性を意識した治療法(商品やサービスでも同じ)で、満腹を維持したまま、ストレスフリーの断食方法が開発されれば、多く人はトライする可能性があります。
顧客視点に立って、習慣を変えることなく、新しいトライができるように伝えられているか? ここもしっかりと噛み砕いておくことが大事です。
4の試用可能性は、いわゆる「お試し」ができる環境づくりです。
以前、ゴルフのスイングチェックを行うエプソンの「M—Tracer」と言う商品を購入しようと思った時、「練習に取り入れて効果的か?」と確信が持てなかった時、レンタルのサービスが目に止まりました。
10日間で2000円。レッスンを受けたと思えばタダのようなお金なので、取りあえず申し込んでみました。
すると、一定の期日以内に購入すれば2000円割り引いてもらえるクーポン券が同梱されていました。
無料のお試しができない場合でも、こうした工夫を緻密に組み込んでいる商品は、やはり売れています!
5の可視性は、波及営業の「顧客の実績を謳う」ことに紐づいています。
しかし、ただ実績や事例を紹介するだけでは、期待する効果が得られないでしょう。
なぜか? 一言で言えば顧客心理を理解せずに、チラシを作ったり、ホームページに掲載しているからです。
事例を読んだ時に、「私(当社)の問題点を一緒だ」「この商品なら私の問題も解決されるかも?!」といった期待を獲得できるストーリーになっていることが大前提なのに、ここが煮詰まっていなかったりする文書があまりにも多すぎます。
これでは、残念ながら絵に描いた餅と一緒です。
新商品を売り込む際、戦略・戦術を組み立てていく上では、この5つのポイントをしっかりと織り込むことができれば、成功の可能性は飛躍的に高まります。
ぜひ、トライして見てください。
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