二代目社長が事業承継のタイミングで陥りやすい勘違い
当社にご相談にお見えになられる社長さんに限らず、中小企業、特に、同族会社の社長の多くが「経理」と「財務」をいっしょくたに考えてしまっている・・・という方が大変多いものです。特に、二代目・三代目の社長さんは、先代社長から「お金のことは経理に聞けば大丈夫・・・」といわれるケースが本当に多いため、注意が必要です。
「経理」と「財務」を混同して考えている社長は、経理担当者が財務を見てくれていると勘違いしているため、いつまで経ってもお金が残らない、ひどい場合には、「借入依存」「赤字体質」「資金不足」の三重苦の状態に陥っていたりします。
では、なぜこのようなことが起きてしまうのでしょうか?
それは、「経理」と「財務」の仕事は、根本的な「視点」が正反対の対局にあるものだからです。
例えば、経理が行う業務は、「既に動いたお金の管理をすること(日々の取引の記帳・決算書の作成)」であるのに対し、財務が行う業務は、「これから動かすお金の管理(資金繰り・資金調達・計画策定)」をすることにあります。
それに対して、財務の役割としては、日々のお金の流れを管理し、資金がショートしないように資金繰りを考え、資金調達をすることが挙げられます。そして、将来の経営計画を策定し、それに伴う財務戦略を立案することも、財務の大事な役割です。
つまり、「経理」は、既に起きた「過去」のお金の流れに沿って会計処理をし、仕訳や決算書作成などをするのが仕事であるのに対し、「財務」は、これから起きる「未来」のお金の流れを数字で描いて、お金を動かし、増やしていくことが仕事なのです。よって、仕事の目線が「過去」と「未来」とでは、真逆のモノであり、その視点も全く異なっているということに社長自身が気付くことが重要なのです。
したがって、会社の「未来」を創るための「財務」が不在の経営を続けていたら、必然的に「資金不足」・「借入依存」・「赤字体質」の経営状態に陥ってしまうものなのです。そして、苦境に立たされて、その時に初めて財務中心の会社づくりの重要性に気が付くのです。
安定経営・永続的繁栄を願うのであれば、財務こそが事業永続のためのキーポイントであり、事業永続のためには、財務中心の会社づくりこそが最も重要なのです。そして、あくまでも「財務」は、社長のための実務であり、会社の未来を創るためには不可欠なものであるという事実に気が付くことが事業存続のカギを握るのです。
ダイヤモンド財務®コンサルタント
舘野 愛
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