昇給・賞与に格差をつけてはいけない理由
賃金制度を作るときに、経営者は様々な情報を入手します。
その中で一番印象に残っている情報は、「社員の成果に合わせて昇給・賞与の格差をつける」でしょう。
結果として確かに社員間で昇給・賞与の金額は違います。しかし、今までの経営者の昇給・賞与の決め方をもう一度振り返ってほしいと思います。
すべての社員にたくさん昇給・賞与を出してあげたいという思いがあるからこそ、昇給・賞与を決定するときに悩んでいるのです。
「もう少し出してあげたい!」
この気持ちは、多くの経営者が持つ正直な気持ちです。
社員は新卒で入社して、成長点数20点から40点、60点、80点と少しずつ成長していくことになります。
業績が継続して良い前提ではありますが、その成長に伴って昇給・賞与を例外なく増やしてきました。
つまり、経営者は社員の昇給・賞与を増やしてきたのです。格差をつけたのではありません。
過去に賞与20万円だった社員が25万円になったときに、経営者は、「良かった」と心の中で呟いているでしょう。
それを次のような残念な発言をしてしまいます。
「昇給・賞与の金額に格差をつけるからたくさん欲しい社員は頑張れ!」
まるで、今までの経営者の思いを完全に否定するがごときのこの発言に、社員はその発言に相応しい行動をとるようになるでしょう。
それは優秀な社員がそのやり方を内緒にし、自分だけ高い成果を上げるようになることです。
賃金格差をつけると、昇給・賞与が増える社員と少なくなる社員の大きく2つに分類されます。
こうなれば職場の中で教え合うことはなくなります。
会社の業績を上げる最も簡単な方法は、優秀な社員がこれからである社員に教えることによって全社員が成長し、全体的な業績を上げることです。
その組織風土を失うことになります。
業績が上がるスピードにブレーキがかかるどころか、業績が悪化する可能性もあります。職場の雰囲気は荒れる場合もあるでしょう。
それは経営者にとってどんなことを意味するか理解しなければなりません。
「昇給・賞与の格差をつける」は、間違っても言ってはいけないタブーの言葉のひとつです。
そのような発言ではなく、社員の成長を願っている経営者に相応しい言葉を発しなければなりません。
「この会社に集ったすべての社員の昇給・賞与を上げたい。しかし、いっぺんには昇給・賞与が増えることはありません。成長に伴って少しずつ増えていくことになります。もちろんそれは継続して業績が良いことが前提です。万が一、それぞれの社員が成長しても、業績が悪ければ金額そのものは下がる可能性もあります。それもすべて、事前に分かるように皆さんにオープンにします。ぜひこの会社で成長していって、全社員が少しでも多くの昇給・賞与が増えるようになってもらいたいと、私は心から願っています。」
この発言をすることによって、社員同士は教え合うようになり雰囲気がとても良くなります。そして会社の業績が良くなることになります。
これからの経営環境が大きく変わる時代は、成果が上がる社員と成果の上がらない社員のギャップが大きくなっていく時代に入ります。
そのとき、環境に合わせてますます成長する社員が成果の上がっていない社員に教えることができたら、どの会社にも負けない強い組織力を発揮することができます。
間違った発言をせず、正しい思いを正しい言葉で社内に発表してもらいたいと思います。
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