自社商品開発への取り組み開始、一年たっても形にならない原因とは?
「社員が、どうせ つくっても売れない、と思っている」
先日、ご相談のあったある社長の方から出てきた悩みです。
その方の会社は、ずっと特定のメーカーに対して下請け生産を行ってきましたが、昨今の経営環境の変化に危機感を覚え、一年前から社長直轄で社内の設計者を集め、自社商品の開発に乗り出していました。
しかし、アイデアは社長からの一方通行となり、社員は「どうせ つくっても売れない」と思っていて、一年たってもなかなか形にならずに困っているとのご相談でした。
正直に申し上げて、非常によくある光景です。
客先からのオーダーは、つくれば売れるからやる気になるが、社長からのオーダー(アイデア)は、どうせ売れない、苦労するだけだからやる気にならない、といった状態です。長年の下請け、受注生産が染み着いてしまっており、社員はあくまで受け身です。
自社商品の開発を進めるためには、この受け身の意識を変えなければなりません。
そのためには、以前のコラムにも書いたように、厳しい現状認識を示すことや、企画を自分事とすることが必須ですが、他にもやるべきことが複数あります。
その内の一つが、開発に取り組む人から「受け身の仕事を無くすこと」です。
長年、受け身の仕事を続けてきた方が、現状の下請け仕事を続けながら、新たに自分から能動的に提案する開発を始めるのは、至難の業です。
下請け仕事は、売れるかどうかなど考える必要もなく、非常に楽です。しかも、確実にものになり、成果が出ます。一方で、開発は、売れるかどうかも分からず、できるかどうかも分からず、失敗のリスクが大いにある。こういう状況で、下請け仕事と開発の両方を抱えた社員は、社長がいくら旗を振っていても、下請け仕事を中心に業務を行い、開発業務は、お付き合い程度になってしまいます。その結果、一年もたったのに形にすらなっていない、ということが起こってしまいます。
社長と社員、お互いに不幸な状態です。
新しい開発に取り組む場合、特にこれまで下請けしかしたことが無い企業が開発に取り組む場合は、取り組むメンバーから受け身の仕事を無くして開発専従にすることが欠かせません。
いきなり、従来の仕事を奪われ、これからやるべき仕事を自分で考える状態に置かれると、最初はどうしてよいのか分からず、もがき苦しむことになります。受け身の期間が長ければ長い人ほど、この苦しみは大きくなります。
しかし、これは、受け身から脱するために避けては通れない苦しみです。
そして、この苦しみを社員が乗り越えるサポートをすることこそが、経営者の役割です。
乗り越えた先には、苦しみをはるかに超える果実が手に入ります。
自社商品の開発に取り組むために、専従させる覚悟を持ちましょう!!
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