社長が理解すべき、差別化しても選ばれない理由
先週は「市場で独自ポジションを築く5大戦略セミナー」を開催させていただきました。セミナーでは、競合との完全な差別化を実現して高収益を上げる方法をお伝えしていますが、その前段では私が思考法のベースにし、コンサルティングにも応用している現代哲学の考え方をご紹介しています。
なぜビジネスのセミナーなのに哲学なんかの話をするか?それはひとえにビジネスで結果を出すためには、相手よりも一段高い視点からものごとを見たり考えたりする力(=メタ認知力)を身につける必要があるからです。
そして、そのような高い視点、メタ認知力を身につけるためには、いわばこの世界の最高視点である現代哲学の世界観をビジネスに応用することが非常に有効なのです。
たとえば競合と差別化したい場合を考えてみましょう。社長や営業部長が、マーケティングや経営戦略のセミナーなどで学んだとおりに、3C分析をして競合の特徴を整理したり、SWOT分析をして自社の強みを明確にしたりして、差別化のポイントを明確にしたとします。そして、張りきってそれを買い手にアピールしてみても、結局は競合と価格比較をされてしまう。つまり全然差別化できていないということが多いのです。
なぜ競合との差をアピールしているのに、買い手に響かないのか?真に差別化できないのか?
それは、競合と同じような切り口で自身の優位性を語っている。つまり同じような視点や思考の切り口で自社商品の特徴や相手のメリットを捉えているから。
例えば学習塾を経営しているとして、「当塾は東大合格者〇〇名、一ツ橋〇〇名、早稲田〇〇名、、、、、」といくら謳っても、同じように有名大学への合格者数をアピールするところは他にも多くあるわけで、たとえ合格者数で大きく勝っているとしても、買い手からしたら同じように見えてしまう。
これを哲学では「類似は差異に先行する。」と言い方をしますが、差をつけれたと思っているのは当人だけで、実は似た者同士、つまり「同じ穴の貉(ムジナ)」と思われるということです。
では本当の意味で差別化するにはどうすればいいのか?
これも哲学の考え方を応用することができます。例えば、「まず構造(全体)があって、その中で個(部分)の世界が振り分けられる」という世界観に基づけば、売りたい対象(部分)よりも、その上位概念(全体)に目を向けるべきということがわかります。
学習塾(部分)を売りたければ、その上位概念である学力(全体)ということの意味づけを変えていくことから始める。学力ということの定義が変われば、自動的に学習塾の意味づけも変わるからです。
一方で「本当の学力を身につける」というように「学力」をすでに語っているところも多いことでしょう。ですから、単に「真の学力を」とか「一生モノの学力をあなたに」などと言ったところで埋もれてしまいます。
埋もれないようにするためには、意味づけを変えたい上位概念(全体)のさらに上位概念(全体の全体)に目を向けていくことです。
例えば「学力」であれば、その上位概念である「思考力」、もしくはさらに上位の概念である「言葉」ということから語っていく。
そうやって上位概念から意味づけを変えていくことによって、あなたの学習塾で身につく学力というのは、他とは全く違ったものと相手に認識させることができます。
もちろん、差別化のコンセプトだけでなく、商品・サービスの企画、セールストークの組み立て、事業プロセスの仕組み化まで、高い視点=メタ認知力がなければ競合を凌駕するものは生まれません。
つまるところ、ビジネスにしろ政治にしろ普段の人間関係にしろ、この世界は上位概念の取り合いです。視点の高い者が構造(全体)を支配し、視点の低い者はその構造に絡めとられるのです。
業界を変え、お客様を幸せに導くために、苦しくても簡単なやり方やノウハウに逃げず、高い視点をもってメタ認知力と向き合っていきましょう。
コラムの更新をお知らせします!
コラムはいかがでしたか? 下記よりメールアドレスをご登録いただくと、更新時にご案内をお届けします(解除は随時可能です)。ぜひ、ご登録ください。