価格競争に立ち向かう5つのアプローチ
「うちの営業マン達が競合の値段があまりにも安くて、全く勝てない…とぼやいてばかりいます。これ以上粗利を削ると利益が出にくいのですが、どう対応すべきでしょうか?」
最近、よく受けるご相談内容のトップ3に必ず入るのが、価格競争の問題。
これだけ商品が溢れかえり、差別化が難しくなってくると、避けては通れない道になるのは、仕方ありません、
ただ、仕方ないからと言って、値段を安直に下げるのは賢明な経営者の仕事でないのも現実。
では、どう価格競争に向かい合うのか。
まずは、いかに現状を正しく捉えるかが重要になります。
価格競争に直面した際の対応策としては、大きく分けて5つのアプローチがあります。
- 競合に勝つ「価格改定」を行う。
- 付加価値を明確にして「勝てる営業」を共有する。
- 新市場を開拓する。
- 撤退して新商品開発を行う。
これら4つは、教科書にも載っているアプローチですが、もう1つだけ有効な策があります。
それは、
- 価格で選択させない「世界観」を創造する…ことです。
一つづつ、見ていきましょう。
- の価格改定は、もっともシンプルな問題解決法になります。
究極にコモディティ化した商品分野は、差別化も尽くされ、さらなる差別化は雑音にしかならないこともあります。
こういった分野は、致し方なく「値下げ」することも選択肢になるでしょう。
ただし、安易な値下げは顧客に見透かされ、逆に売上不信に陥るケースも多々見られるので、注意が必要です。
必ず「値下げする理由づけ」を営業マン、顧客が共有しておいてください。
また、単なる値下げは企業生命の源泉である「粗利益」を削ることになります。
なので、同時に、抱き合わせ販売やバックエンド商品を設計して「受注1件あたりの粗利益額を維持する策」も大事です。
② 付加価値を明確にして「勝てる営業」を共有する。
性能、機能の差別化は、付加価値ではありません。
あくまでも、顧客にとってのメリットとして差別化された性能、機能が付加価値となります。
顧客は、「なぜ、この商品を買わなければならないのか?」を認知しないと、購買行動は起こしません。
「買う理由づけ」が必要なのです。
ここを明確にできるのであれば、1点突破。
セリリングポイントをこの付加価値だけに絞って、市場とコミュニケーション。営業マンと顧客のコミュニケーションを徹底させることで競争力の維持に繋がります。
③ 新市場を開拓する。
既存市場が「価格競争」で荒らされた場合、競合他社が目をつけていない新しい市場を開拓することも、有効な策です。
既存商品が、他の市場の、他の顧客メリットに貢献できないか…
クリエティブ力を発揮して「新市場」を見つけ出し、的確なセールス・コミュニケーションを駆使すれば、これまでとは違う「儲け」を創造することもできます。
「第260話 儲けに繋げる「営業的思考プロセス」のあり方」で取り上げた事例は、この際たる問題解決アプローチ。
飲食店によく使われている呼び出しベルを、工場用に転用させた事例を紹介していますのです、時間のあるときに再読して見てください。
④ 新商品を開発する。
荒らされた市場に見切りをつけて、新しい出発をすることも時には必要です。
撤退戦略は、一見すると逃げのように見えるかも知れません。
しかし、「強み」を発揮できないビジネスは、低収益に甘んじる他ないのが現実。
IBMがパソコン事業を潔く撤退し、強みの活かせる事業分野に集中していること。
100年以上続く長寿企業は、したたかにビジネスモデルを転換している企業が多いこと。
これらの現実を踏まえると「勝ち続ける企業」であるためには、避けては通れない道なのかも知れません。
そして、最後の⑤ 価格で選択させない「世界観」を創造する…こと。
これは、ものすごく分かり易く言うと「宗教」を作る考え方を取り入れるのです。
時代を超えて生き残る企業を分析した書籍「ビジョナリーカンパニー」の中でも、
ビジョナリーカンパニーであり続ける条件の一つに「カルト集団のような文化が作れらている」ことが、ビジョナリーカンパニーを分析する中で発見されたと発表されています。
社員に働きやすい環境を作るのではなく、理念への熱狂、教化への努力、同質性への追求…を行い、仲間になれるのかなれないのかがはっきりさせる。
このカルト(新興宗教)のような文化が育まれている企業が、時代を超えて生き残っていると言うのです。
これは、会社と社員の関係を超えて、顧客との関係の中にも浸透していくはず。
なので、意図して「顧客との関係づくりで、この“理念への熱狂、教化への努力、同質性への追求”を行うことで、独自の文化を育む」ことに神経を注いでみる。
すると、競争に陥らない環境を作ることができるわけです。
そもそも、価格競争に陥る本質的な原因は、「比較・選択」されることです。
この「比較・選択」の前に、強い意思決定要素があれば、自社の商品を購入してくれる確率がグンと上がる。
社員、顧客を巻き込んで「カルトのような文化」を作る。
価格競争に陥らない非常に有効な策と言えるでしょう。
- から⑤まで、どの策が最も自社に有効か?
市場環境、社員の質、経営者のタイプによって、それぞれ違います。
企業の存続につながる重要な意思決定なので、経営者と前線で戦う営業マン、または企画や製造など現場の人たちと膝を付け合わせて、論理的に協議することが重要です。
御社では、価格競争にさらされた時、問題を放置し、全員傍観者のように立ち振る舞ってはいませんか?
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