「チェーン経営に於けるお客様視点の業務改善」とは
「伊藤先生、うちはPDCAの、CとAがどうも苦手でして・・・」
先日 セミナーにお見えになり、個別相談を受けられた経営者からのご相談です。
-------PLAN DOだけのやりっ放しは絶対ダメです。とキッパリ申し上げました。
PDCAとは計画 実行 評価 改善の一連のマネジメントサイクルの流れを意味しますが、小売業は、何でもかんでも、早く計画・実行したいという想いが先行し、評価改善をおろそかにすることから、行く先々で手詰まりを誘発させることが多い、と言えます。
例えば、アメリカのチェーンストアの店長と、日本の店長をみると、いくつかのわかることがあります。
海外視察等で見るアメリカ小売チェーンの店長の動きと、日本のチェーンの店長と動きに、明らかに違いがあることに、お気づきの方は多いと思います。
日本のチェーンの店長は、とにかく動きが早い。独楽鼠のように店内を秒速で駆け回って、片っ端から問題をかたづけていく、現場処理能力に重きをおきながら、自分の考えを伝えていきます。
一方で、アメリカのチェーンの店長は ゆったりと笑顔で仕事をします。それも部下のマネジャーも同じようにやります。
品出しが遅れていようが、レジが混雑しようが、自分に与えられた業務以外、一切その作業を手伝ったりはしませんが、次にどのように生産性を上げていくかという風に考え部下にアドバイスをおこないます。
これは、文化や習慣の違いからくるものなのだろうか?と、だれもが考えることだと思いますが、前職時代に、外資傘下に入ったときに、その理由がはっきりとわかりました。
理由は簡単で、文化や習慣の違いではなく、アメリカをはじめとする他国も同じようなことがどこでも起こっていたということです。
それを丁寧に一つ一つ解決してきたからこそ、ゆったり仕事をしても、圧倒的に高い人時生産性を出せるようになり、今に繋がっていることが分かったのです。
「一体、どこで違うのか?」という声が聞こえてきそうですが、
一言で、いうなれば、儲からない仕事のやり方をしない。という点にあります。言い換えますと、儲からない仕事=顧客のためになっていない仕事 ということです。
店長が忙しく動くのは、あちこちで人手が足りないことが起きていて、その対応策に追われているからです。
つまり、日々の作業計画がないために、品切れやレジでお客様をお待たせするといったことが起こり、その処理作業をやっているのです。
本来、店長のすべき仕事は、売場作業計画ができているかどうかを確認し、その精度ついて評価をして改善していくことです。
時折、私はクライアント企業の店舗で、ヒアリングミーティングをすることがあるのですが、パートナー社員の声に耳を傾けると
「社員が非効率的な仕事をやってるので カイゼンしてほしい」とか
「社員にやって欲しいのは、業務の割振りなのに作業員になってる」とか
「使いにくい用具・機器を変えてほしいといってもやってくれない」とか
「締め切りギリギリになってから(仕事を)振ってくる」といった、
とにかく、ムダが多いから残業になっているという、不満が数多くでてきます。
日々忙しいため、改善すべきことが、手つかずのままの光景が、脳裏に浮かんできます。
そもそも、こういった問題は 作業指示書の中で、それをやる人が決まっていれば、ほぼ問題なくスムーズに時間通りに終わるものばかりです。
しかし、作業指示書がない企業では、不満と仕事が積み重なって、恒常的に残業が発生しています。
断っておきますが、「残業発生が悪い」と申し上げてるのではありません。
大事なことは、作業計画を立て、やってみて、評価して改善することが、お客様のためになる最もシンプルなやり方だからといえます。
店長のみならず、本部の部長や経営幹部もそのようなサイクルで、考え評価することで、想像以上の時間的余裕が生まれてきます。
忙しいから手を付けられない。これを繰り返しているうちは、人時生産性を上げることはできません、と断言しています。
それは、各社のホームページからも垣間見ることができます。
仕事上で、各社のホームページを拝見する機会があるのですが、不思議に思うのが「お客様対応を一番にするための○○」とか「地域ニーズに対応した○○」とか「お客様に喜ばれる ○○」といった社長の名で信条が出ているにも関わらず、それに対して計画を組み、顧客満足をどのくらいのレベルまで改善させていくといった、指標をもっていないことです。
経営者の方に
-------「顧客のためとなる」業務改善は、毎月どのくらいの進んでおらますか? と質問しますと、
「うーん」と声が小さくなります。
各社がホームページで宣言されているような信条に少しでも近づく為に、顧客が求めている項目を設定し、計画し評価改善する。
そこに経営資源を集中させることで、店舗の生産性は上昇し、活気が溢れ個人の給与を引き上げられる状態となります。
さあ、貴社では ホームページに書かれた信条を実践するために何を評価し改革を進めていかれますか?
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