購買行動を阻害する「5つの壁」とは
「体育会系の営業スタイルは、もう時代遅れですね…」
先日ミーティングをした営業マネージャーが、ぽつりと呟きていました。
営業スタイルを率いる営業部隊の真摯な営業努力は、とても好感が持てますが、当の本人は、成果に対して不満を抱いているとのこと。
自ら掲げる目標を達成するために、どうすべきか?
社長の応援もあって、藤冨も会議の場に参画させてもらいました。
同社を取り巻く環境は、超がつくほどの成熟市場です。
商品の差別化も難しく、消費者の期待値も高くない分野で営業をしています。
そもそも、営業活動は「期待値」で購買意欲を喚起し、「使用感」でリピートや紹介商談を生み出すものです。
どれを選んでも同じでしょ…と消費者が認知している商品分野は、極めて「選択購買」がされにくい。
こういった商品は価格による差別化が最も一般的です。
つまり「値引き」「値下げ」なのですが、これが出来ない場合は、営業マンにとって、非常に骨の折れる活動を強いられることに繋がります。
なんども、本コラムで取り上げていますが、セールスの基本はAIDMAを意識することです。
※AIDMA
商品を認知し、購買に至るまでの心理プロセス。
Attention(注意)→Interest(関心)→Desire(欲求)→Memory(記憶)→Action(行動)の段階を経て、購入に至る。
AIDMAは、ロジカルに数字を上げていく「営業企画」をする上で、絶対に無視をしてはいけない消費者の購買プロセスです。
概念では分かりにくいので、具体的に見ていきましょう。
- いかに注意を引きつけるか…(Attention)
私たちは、一日にとてつもない数の広告宣伝やセールス活動に触れています。
テレビCM、ラジオCM、看板、チラシ、店頭POP、DM、電話セールス…
ありとあらゆる宣伝が視覚・聴覚を通じて入ってきていますが、ほとんどはスルーしているはず。
だからこそ、如何に「注意(Attention)」を引きつけるか?に、神経を研ぎ澄せることが大切です。
- 如何に関心を持ってもらえるか…(Interest)
注意を引きつけた後は、如何に「興味」を持ってもらうか?が次なる課題。
そのためには、「注意」と「興味」を橋渡しする心理プロセス…「関心」に着目する必要があります。
如何に話を聞く体制を作るか。如何にカタログやチラシを読もうと思ってもらえるか。如何に当社商品のことをもっと知ろうと思ってもらえるか?消費者目線に立って、購買心理を読み解くことがポイントとなります。
- 如何に興味を持ってもらえるか…(Desire)
関心を持って、話を聞いてくれたり、説明を読んでくれた後に、訪れる次なる購買心理は「私にとって、どんなメリットがあるか?」です。
一般論ではなく、私にとって…が最大のポイントになります。
- 見込客の「記憶(Memory)」の中で、如何に、自社の優位性を感じてもらう
か…
私にとってメリットのある商品だと気づいてもらえても、すぐには購買行動には移りません。
もっと、よりよくメリットを享受できる商品はなかったか? 見込客は自分の記憶を辿りながら、この商品以外の選択肢を想像し始めます。
このステージで「購買行動」を離脱させないためには、「この商品を買うことでお客さんが得られる利益やメリット」をしっかりと顧客に記憶してもらうことが大事です。
その場で、購買しなくても、ずっと「私にとってのメリット」が気になる。
この仕掛け作りが重要なポイントとなります。
- 最後に行動(Action)してもらうために、如何なる仕掛けを打つか…
「危険を冒したくない」という生存本能が影響しているのでしょう。
新しい行動は、うまくいけばメリットを享受できるけど、同時に見えないリスクがあるかも知れない…という不安を抱くのが人間です。
これは購買行動も同じです。
なので、興味もあって、優位性も十分に理解したけど、何か不安…という心理的障壁があることを意識して、これをどう乗り越えてもらうか?に心を配ることが大事です。
・事前電話相談 ・お試しコース などのリスクヘッジ策の提案。
・電話注文、FAX注文、メール注文、ネット注文など、顧客属性を配慮した
行動しやすいアクションプランの提示。
など、行動を妨げる要素を、ありったけ想像してみて、それを解消する企画を企てるのです。
このように、Attention(注意)→Interest(関心)→Desire(欲求)→Memory(記憶)→Action(行動)の段階を経て、購入に至ることを十分に意識して、各プロセスで、購買意欲が失速している理由はないか? を継続的に注意深く観察し、改善活動を行なっていくことが、真の営業努力というもの。
売れない…と、漠然と悩むのではなく、注意、関心、欲求、記憶、行動…どの壁を突破できていないか?
この5つの壁のどこで躓(つまず)いているいるのか? 究明する努力なくして、売上を伸ばすことはできません。
このように事実を考察すると、明らかに今の営業に求められるのは、頭脳戦です。
御社の営業部門は、頭脳戦で戦う体制を整えていますでしょうか?
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