危機的状況に陥る前の意識改革
「売上は前年とトントン、社員もここ数年安定しています。今年は新しい設備も導入したので、何とか来年はもう少し頑張りたいところなのですが…」
先日ご相談にいらっしゃった社長様のお話しです。取り立てて今、早急に何か改善を!という事では無さそうですが、何だか歯切れが悪いご様子。「社員さん達は皆さん張り切ってやっていらっしゃいますか?」とお聞きすると、「はあ。忙しさからか、ちょっと体調に波がある者もいますが、概ね順調です」と答えが返ってきました。最近、このようなご相談が非常に増えています。
「今、大きな問題があるワケでは無いけれど、将来のことを考えると今のうちから何かを変えていきたい」
という類のご相談です。周りを見渡すとどこの企業も新たな商品やアイディアを出して成長している(ように見える)し、情報だけは過多に入ってきて世の中の変化のスピードは益々加速しているように感じる。しかし、ふと振り返ってみると、何となくこれまで通りのことを何の疑問も持たずにこなしている自社の姿があって、もしかするとここだけ時が止まってしまっているのか?と感じさせる瞬間があるのだと思います。
しかし、今にも会社が潰れそうなワケでは無いので、体調が思わしくないんだと言われれば「仕方がない」…、現状の仕事で手一杯ですよ!と言われれば「ごもっとも」…、一生懸命やっているんですから!と言われてしまうと「そうだよね」…となってしまっているのかもしれません。
確かにその通り。社員達は決してやる気が無くて怠けているワケではないでしょうし、限られた時間と人数で現場は手一杯、毎日まじめにやっているでしょう。これ以上を求めると、やれブラック企業だなんだと騒がれても困るので、「もうちょっと何とか知恵を絞ってもらえないかな~」と心の中でぼやきながら手をこまねいている社長様も少なくないのでは?
しかし、これまでのやり方の延長線上だけで物事を捉えていると、単純に仕事量が増えた時には「忙しいです」となり、人が減ると「大変なんです」となりがちです。ましてや気分が悪い…家の用事が…と言い出されてはキリが無く、このような空気が蔓延した社内では、新たな戦略が受け入れられず組織改革もなかなか進みません。では、一体どうしたら良いのでしょうか?
一つは、上に立つ人間の意識を大きく変えることです。経営者を含む管理者全てです。「仕事を滞りなく」とか、「お客様や社員同士の関係性を大切に」など、物事をそつなくこなそうとすればするほど行動も思考も固定化してしまい、いわゆるワンパターンになってしまいます。今までやって来たことはできるケド、そうで無いことは“不安です”とか、今の仕事の上に何か増えると物理的に“無理です“など、今いる場所から一歩も動かずにいては、上を目指すことは正直難しいと思います。今までを否定する必要はありませんが、意識の矢印を未来に向けて変革することが重要です。
そしてもう一つ。経営者自らが新たな環境に身を置いてみることです。異業種との意見交換や他社の見学訪問でも良いですし、セミナーや講習も良いでしょう。私の場合は異国の経営者との交流を通じて、広い視野で日本の文化を感じ、日本のビジネスを見るようにしています。これまでに無い価値観に触れることで、新たな発想やアイディアが泉のように湧き上がってくるからです。
経営者の皆さま。社内の風通しは良いですか?新たな発想やアイディアが飛び交う会議ができていますか?ご自身の経営に対する気持ちはいつも新鮮ですか?社内の空気は経営者が創り、その波動は幹部に伝わり、同じ空気を好む顧客とのつながりを生んでいくんですよ。
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