第64号:利益率を確実に上げるための目標設定
先日、ある注文住宅会社の経営者様から相談を受けました。
「値引きやサービスをしないと営業マンが契約をまとめることができません。更に客単価も利益率も下がっています。しかも、新規集客件数も下がっています。どうしたらよいでしょうか」というお話でした。
そこで私が「目標設定はどのようにされていますか?」と伺うと、「弊社では売り上げ◯億円、粗利益◯◯◯万円です」「それから年間契約棟数◯◯棟です」とお答えになりました。
このような目標設定を立てられる会社様は、一般的には非常に多いのではないかと思います。しかし、こうした目標設定では、ほとんどの会社は収益が出なくなっているのが現実です。
なぜならば、この目標設定では、営業マンは売上か契約件数を目標として重視して活動することになり、売上目標の達成や契約棟数を増やすために値引きに走ってしまいます。そうした場合、どんなことが起こるかというと、仮に3%の値引きもしくはサービスをしてしまったら、その分、売上目標を上げていかなければ利益は確保できなくなります。
たとえば、粗利益率25%の会社が3%の値引きをしたら、利益は12%も下がってしまいます。逆に、粗利益率25%の会社が、3%高値で販売できれば利益は12%も上がります。
つまり、値引きをすれば、その分売上や契約棟数は上げていかなければならなくなるのです。目先の売上目標達成のために値引きをすることにより、どんどん収益は上がらなくなるのです。
ですから目標設定は、「売上」「粗利額」「契約棟数」だけではダメなのです。
そもそも、値引きしなければいけない最大の原因には、お客様との信頼関係がしっかりできていないことや、自社の価値がしっかり伝わっていない段階で契約していることなどが挙げられます。そのためにも、見込み客をしっかりと確保し、その関係性を育てていくことが大切なのです。
そして良質な見込み客を確保するためには顧客からの口コミ紹介は欠かせません。
目標設定には、「年間紹介件数」「見込み客数」「粗利益率」など、売上達成のプロセスにおいて重要な数字を設定していることが重要です。
これをキィー・パフォーマンス・インジケーター(KPI)といいます。
自社が目標達成するにあたり、顧客満足度が表現されるような数字を目標設定することが大切なのです。
例えば、「紹介件数目標」を目標にするなら、顧客満足を実践できていなければ紹介は起きません。ファン客に効果的に営業マンになってもらうための仕組みが重要になります。
「粗利率」を目標にすれば、お客様に自社の提供価値を的確に伝える仕組みが重要になります。目標設定と売れる仕組みづくりは密接な関係があるのです。
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