「自社の業務内容を知っているチェーンだけが成長できる」
「作業時間の調査ってどうやるのでしょうか?」
今、頑張って売上を伸ばし続けているチェーン経営者からのご相談です。
以前、中堅スーパーマーケット店で勤めておられた時、作業時間を自分で測り、目標を決めてやるやり方を何カ月も続け、その後たち切れとなったそうです。
説明もなくスタートし頓挫した、あの調査は何であったのか?とずっと引っかかっていたそうです。
現在は別のチェーンの経営者となられ、本格的に人時生産性を上げていきたい。ということで、弊社のセミナーに参加されました。
伊藤は日頃から、生産性をあげることとは、自社の作業の内容を知ること、と申し上げております。
先の調査は、どちらかと言えば、作業調査ではなく個人の作業速度をアップさせていくための作業トレーニングです。
そもそも、売場は、お客様から尋ねられたり、上司からの指示があったりと、臨機応変に行われるため、いつも同じとは限りません。
会社として個人に丸投げをして、目標を決めようとすること自体にムリがあり、これではいつまでやっても、効果も士気も上がらないといえます。
今は、このような、無謀なトレーニングを続けておられる企業はないと思いますが、もしあったら 絶対にすぐにやめるべきと断言します。
理由は、簡単です。個人任せにスピードだけを競ってやれば、生産性どころか、労災事故をまねきかねません。店の生産性改善は、目的と順番を間違えずにやることが同時にリスク回避となるのです。
そうはいっても、人手不足の中で、長期間かかる調査はどうやればいいのか?これをやった効果が未知数?といった見えないことも多く、踏み込めないのが実情です。
なんでもそうですが、新しいことに取り組む時には、経営トップが「これからは、成長につなげることに取組むので、皆協力してほしい」と最初に宣言することから始めていきます。
その後、プロジェクトチームが入っていって、説明をし店舗だけに、負担がかからないようにすすめていきます。
特に小売りチェーンの場合は従業員数が多く、丁寧に伝え続けていくプロセスが何よりも重要です。また、現状を純粋に反映した数値を共有することは、抵抗感を取り除き、改善を促進する大きな武器となります。
こういった、業界特性を知っていれば、この先、必要最低限、何を調べていけばいいのか見えてくるわけです。
前出のようなスピードアップトレーニングが目的ではありませんから、何か月も調べる必要もなく、むしろ2日もやれば十分と考えます。
「たった2日ですべて正しく調べることができるのか?」という声が聞こえてきそうですが、
自社の業務項目に、どれぐらい時間がかかっているかを 自分たちの目で確認することを二日ぐらいでやりきる覚悟もないような企業に、改善はできません。とキッパリ申し上げております。
「仕事の早い人もいれば、遅い人もいるそのへんはどうするんだ!」という声も当然でてきます。
こういった、抵抗感はどこでもあります、詳しくはセミナー等でお話しておりますが、
人の作業スピードは、5倍も10倍も変わることはありません。むしろ変わってくるのは、作業の量という点にあります。
断っておきますが、作業は遅くてもいいということではありません。大量にあって手間がかかる業務を洗い出し、簡素にする。と考えた方が抵抗が少なくてメリットが大きいからといえます。
いいかえれば、研修と違い、ペースが落ちできたらまたトレーニングをやるといった、対症療法でなく、問題の原因を取り除いていく原因療法となります。
大量に時間がかかっているところは、機械化、システム化する一方で、人間しかできない接客・改善といった仕事に時間を再配ようにしていくことです。
そういう意味では、売上が増えるわけでもない商品棚卸は、年に何回も時間をかけてされているのに、利益が稼げる業務棚卸をやらないのは、もったいないことと言えます。
売上を上げるのは商品部であり、利益を稼ぐのは店舗運営部の役割です。店舗運営部は、店舗作業にかかっているコストをコントロールし、利益をうみだすことが使命です。これからは天気がどうのこうのとか、客数がどうのこうのとか、競合チラシの日替わりがどうのこうのとか、という話し合いは小売チェーンには必要ありません。
必要なことは、成長戦略の原動力となる店舗業務改革力であり、その最初の入り口が作業時間の調査であるという点です。
さあ、貴社の店舗運営部では、利益を稼ぎだすアクションをどのようにとっておられますでしょうか?
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