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創業来、初の営業マンを採用する際の心得

SPECIAL

波及営業コンサルタント

有限会社 日本アイ・オー・シー

代表取締役 

取引先のネームバリューで次々に新規開拓を実現する「波及営業戦略」を体系化した辣腕コンサルタント。特に技術系のメーカー企業や、特殊な加工、取り扱い品、異色サービスなどを手掛けている企業の販売戦略の再設計、大きく売れるようにする仕組みづくりに定評。

「技術の人間以外を募集するのは初めてなんです。営業マンの採用面接に立ち会ってもらえないでしょうか?」 

先代から引き継いだ「下請稼業」の売上が低減してきたために、自社商品を開発。

少しづつ軌道に乗り始め、ようやく「売上高」と呼べるまでに育ってきたので、営業マンを入れて勢いをつけたい…という企業から以前ご相談を頂いたことがありました。

社長自ら、当社の波及営業を実践されおり、「インパクトユーザー」からの受注にも成功。その実績に神輿(みこし)に掲げ、ダイレクトメールを出したり、雑誌にも取り上げられたりと、果敢にチャレンジをして、業績拡大の足がかりは作れた段階とのことなので、これからがますます楽しみな会社。

あとは、しっかりと見込客をフォローできる体制が整えば、売上は上がるだろうそう言った目論見からの採用計画です。 

私は、人材採用のプロではないし、知見もありません。

なので、一度はお断りをしました。

が、「どうしても」となり、お引き受けすることになってしまいました。

2日間にわたり合計で8人面接。 

それぞれに魅力的な人材で、社長も私も迷いに迷いましたが…

社長は、最も活発な発言をしていた若者が気になったらしく、「先生、営業ですからとにかく数字ですよ! バリバリ受注してくれれば、それで十分です!」との評価。 

しかし、私には、どうしてもピンときません。

そこで、社長にこう質問しました。

「彼は、現場(製造)を理解しますかね?」と。 

と言うのも、彼が前職で販売していたのは、業務用のコーヒー。 

言ってしまえば、商品知識なんてほとんどいりませんし、販売時点での顧客の不安も皆無に近いものがあります。 

しかし、同社は技術系の会社です。 

自社ブランド商品も、パッケージ化されているものの、導入時には若干の仕様調整が入るはず。

となると、商談で持ち帰った宿題を製造部門とすり合わせをして、その結果を顧客にわかりやすく翻訳しながら伝えると言う、コーヒーに比べれば、極めて難易度の高い「調整スキル」が必要になるわけです。 

売れる営業マンを採用すれば、我が社の売上も上がる! 

そう言った単純な方程式は、絶対に成り立ちません。 

売れている営業マンからは話を聞くときは、「どのような商品を、どのようなセリングポイントで、どのように販売してきたのか?」と言う売上に繋がる行動パターンをヒアリングすることが大事です。 

その上で、我が社の営業との類似性を見つけ出し、彼らの経験が十分に活かせるかを類推することが、中途採用では大切なことです。 

よほどのケースでない限り、前職で経験してきた営業と、全く異なる商品・組織で同じような成績を弾き出すような人はいません。

これは、藤冨の経験上、間違いのない現実です。

そう社長にお伝えすると、さすがは理系社長。

「そりゃそうですね!」と方針を一転。

  • 前職で扱っていた商品と我が社の商品の類似性を見つけられること。
  • 前職の経験を我が社に活かすことができるか、類推すること。
  • 自社の空気感や既存社員との相性を想像してみること。
  • 素直に前向きに仕事に取り組めるかどうか、洞察すること。

 そして、何よりも

  • 「我が社は、営業社員に何を求めているのか?」を明確にし、それにマッチすること。

これらの人材像を念頭に置きながら、今度は、自らの希望をより鮮明に描いていきました。

また、即数字を出し続ける人材が欲しいのか。

それとも、3年を目処に強い営業基盤を作って欲しいのか。

求めることによって、採用計画を考える必要があります。

即数字が欲しいのなら、一人採用はベストな方式ではありません。

数字を即作りたいのなら、営業マン同士が競争しあえる環境を作ることが大事なので、最低でも3名同時採用することが大事です。

そのうち、1〜2名離脱してもらっても、構わない。

そう言う覚悟で、採用することです。

3年を目処に強い営業基盤を作るのであれば、我が社の技術の強みや可能性を見抜き、それに惚れてくれそうな人材を採用することがポイント。

スキルは後からでもついてきますが、好き嫌いの感情は、後付できないからです。

そういった観点で、先に面接した人材を再評価していくと、あまりパッとはしないけど、地道に努力をしそうな26歳の若者が社長と私の脳みそに浮かび上がってきました。

お互いがそれを察し、「あの子にしましょう!」と自然となり、無事採用が確定。

あれから6ヶ月。

 製造の人達に自ら自社の技術指導を仰ぎ、保守対応やクレーム処理にも積極的に同行し、同社の全てを知ろう!と貪欲に仕事に取り組んできたそうです。

1年は売上ゼロでも良いと割り切って採用したとのことですが、蓋を開けてみたら2件の受注。年収の2.5倍も売上貢献してくれているとの報告を先週受けました。

自らを知り、相手も知る。

営業マンの採用には、不可欠な視点です。

御社は、闇雲に営業マンを採用していませんか?

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