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成績NO.1の営業マンが辞めても売上が下がらない理由

SPECIAL

波及営業コンサルタント

有限会社 日本アイ・オー・シー

代表取締役 

取引先のネームバリューで次々に新規開拓を実現する「波及営業戦略」を体系化した辣腕コンサルタント。特に技術系のメーカー企業や、特殊な加工、取り扱い品、異色サービスなどを手掛けている企業の販売戦略の再設計、大きく売れるようにする仕組みづくりに定評。

「当社の成績NO1の営業マンが退職願を出してきました。売上が激減するかも知れません。引き留める良い方法はありますでしょうか?」

以前、プロジェクトをご一緒した社長からの久しぶりの一報。

話を詳しく聞くと、全社売上の2割程度をそのトップ営業マンが稼いでいるとのこと。

確かに、これは売上・利益が激減する恐怖を与えるには十分な材料だと思いました。

しかし、さらにお話を伺うと、給与は3年間も据え置き。

昇格も一切なし。

その理由を聞いて、私は確信を持ち断言しました。

「社長、そのトップセールスマンが辞めても、売上は2割も落ちませんよ」と。

これまで幾度か、同じようなご相談を経験していて、私自身も4〜5年前までは、「それは困った!」とご相談先の売上減を酷く心配していました。

しかし、ご相談のあった会社が倒産したこともなければ、大幅な減収で資金繰りに困ったこと現実は1件たりとも起きませんでした。

もちろん、売上が下がったケースはありますが、逆に昨対ベースで売上が上がった企業もあるくらいです。

藤冨の愛読書「本質を見抜く考え方」(中西輝政氏著)にも書かれているように、「静止または、等速直線運動している物体は、外部から力を受けないかぎり、その状態を変えない」という「慣性の法則」が働くようで、一度ある売上規模で動いた組織は「外部(需要と供給)」の力でしか売上減には至らない…

最近では、そう確信めいた考え方を持つようになりました。

もちろん、そうした“目に見えない法則”や“感覚値”だけで「売上減にはならない」と断言をしたわけではありません。

藤冨がたった1つだけ質問したのは、「そのトップセールスマンは、自分で売上のリードを作っていますか?」ということ。

リードとは、受注のキッカケになった集客起点のことです。

テレアポや、飛び込みなど、営業マン自らが努力して行う見込客発掘。

展示会やホームページ、ダイレクトメール、パブリシティなど、全社的に行う見込客発掘からの受注活動。

結果としては、どちらも同じ売上です。

しかし、受注決定要素としては、全く別次元の世界で、その売上は成り立っていることに気がつく必要があります。

もし、トップセールスの売上を全て紐解き、リードを彼自身が作っていなければ、受注決定要素は、会社が作っていることになります。

つまり、そのトップセールスの売上影響力は、実際の半分…下手をすると2割か3割しかない可能性が高いのです。

商談が、テクニカルで経験値が受注決定要素に大きく影響する商品であれば、影響力は比較的大きいかも知れません。

しかし、それでもリードを自分で作れていなければ、彼が辞めたからといって、彼の売上がマルっとなくなるわけではありません。

会社が作った見込客が、他の営業マンに流れるだけのことです。

もちろん、トップセールスと普通のセールスでは、受注確率は違いますし、受注で取ってくる客単価も違います。

トップセールスは、受注への集中力が高いので、顧客の心理的な動きを鋭く見極めて、契約へと導きますが、普通のセールスは、顧客の微妙な心理的な動きすら気づかないことも多い。

また、客単価に至っては、関連商品を売り込む「クロスセル」や顧客が真に求めていることを商談の場で再定義をして、より高価な商品を提案する「アップセル」などの技術にも雲泥の差があります。

なので、一見売上は激減する様に感じるのですが…

現実は、それほど憂いる必要はないのです。

その理由は、コンバージョン率の遷移(せんい)を見れば分かります。

ちなみに、コンバージョン率の遷移は、以下の様な流れになります。

月間見込客数 → 商談数 → 受注件数

これに、マーケティング要素が入ると

月間アタック数(接触率) → 月間見込客数 → 商談数 → 受注件数

となります。

これを営業マン別に数値化してみてください。

まず、商談成功率。

これは、受注件数÷商談件数で計算します。

そして、見込客発掘率。

これは、見込客数÷月間アタック数で計算できます。

広告が入る場合は、媒体の読者数や閲覧、視聴者数で見てください。

冒頭にお話ししていた会社の営業マンは、この見込客発掘率がありません。

したがって、受注成功率だけで見ればOKです。

すると、意外にも同社においては営業マンごとの商談成功率に大差はなさそう。

となると…

誰でも憶測がつくとおりに、彼が辞めても売上に与える影響力は、額面上で想定しなくても良いということがわかります。

それに…部下をつけることで、組織的な弊害を感じていたのは社長ご自身です。

社長が「辞めてもらっても平気だ!」と社内に対して気丈に振る舞うことで、社内の嫌な空気感が一新され、組織が一致団結する効果も十分に期待できます。

いえ、期待論ではなく、ピンチをチャンスに変えるべく、強く意識をして、組織の風土改革を行う機会と捉えることが重要でしょう。

売上減に至るピンチは、トップセールスの退職だけはなく様々な事由があります。どの様な危機でも「本質を掘り下げて分析」し、対策を講じることが大切です。

御社は今、売上減のピンチに心を惑わされていませんか?

 

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