社長が知っておくべき 社員のやる気を引き出す2種類の「報酬」の活用
今年も従業員50人以上の企業で、ストレスチェックが実施され始めています。一般的なストレスチェックの質問項目の中には「上司や同僚からのサポート」に関する質問があります。これは、自らが困ったとき、悩んだ時にどれだけまわりに助けを求めることが出来るかをはかるものです。
職場におけるメンタル不調の要因は、仕事の量や質、裁量だけではなく、社員個人の要因(性格、年齢、考え方など)や、プライベートなストレス要因も関わっていると言われています。
そして、仕事上のストレス緩和に欠かせないのが、「上司や同僚からのサポート」なのです。つまり、まわりに助けを求めることが出来る人、実際に助けてくれる人がどれだけいるのか、がストレスを回避することに大きく関与しているのです。
また、ストレスを軽減するために必ずといっていいほど課題として挙がるのが「コミュニケーションの改善」です。つまり、職場に十分なサポート体制があり、その中で良質なコミュニケーションが図られているのは、ストレスを緩和し、働き甲斐のある職場づくりに欠かせないのです。
では、社員のストレスを軽減するようなコミュニケーション、良質なコミュニケーションとはどのようなものでしょうか。社長としてぜひ知っておいて欲しいのは、2種類の報酬があるということ。
社員が頑張ったこと、やり抜いたこと、チャレンジしたことに対して、成果をきちんと評価し、それに見合う報酬を出すという「経済的報酬」。これは言わずもがなですが、実は報酬にはもう1つあります。
それが「心理的報酬」というものです。つまり、頑張った社員に対して、「よく頑張ったね。助かったよ。有難う。」なとど、認める、褒めるということなのです。これは上司が部下に対して、日頃から気軽に提供できる報酬でもあります。
この「心理的報酬」は、案外、職場では軽視されているのです。というのも、十分な「経済的報酬」があるのだから、あえて言わなくても伝わっているだろうとか、成果に対して報酬を出しているのだから、これ以上何を望むのか、と考えてしまいがちだからです。
もちろんそのこと自体は否定はしませんが、この「心理的報酬」には、もうひとつ、大切な意味があります。というのは、社員が職場で十分に価値ある仕事をしているということを認めることなので、社員自身の自己肯定感につながるのです。
この自己肯定感とは、自分はこの職場で認められているんだ、必要とされているんだ、という感情を生みだします。このような感情をもった社員は、これまで以上に頑張って成果を出すだけではなく、職場に対して貢献しようという気持ちになるので、ますます好循環を生むのです。
ところが、これを社長であるあなたが、管理職に対して「部下への心理的報酬を徹底しなさい!」と号令をかけただけで出来るほど簡単なものではありません。また、管理職、個々人のやる気に任していても物事は一向に進まないのです。
では、どうしたらよいのか。
このような「心理的報酬」が行き交う風土づくりをしなければなりません。そのためには、仕組みを導入する必要があります。そして、社長含め、経営陣が率先して実行することで、その仕組みをまわすのです。
仕組みといっても難しいものではありません。逆にゲーム感覚で、楽しく行えるような仕掛けの方が盛り上がります。といっても、最初は、この仕掛けに熱心に参加したチームや個人を評価する工夫をするなど、社内に根付き、強化なものにしていく工夫も必要です。立ち上げ時には時間と労力が必要ですが、一旦できあがった仕組みは、逆境にこそ力を発揮するのです。
ストレスの少ない職場、社員がイキイキとやる気を持続できる職場では、この「心理的報酬」を上手に活用しています。上司から部下への一方通行だけではなく、その逆もあり、同僚間でも盛んに行き交っています。
さて、御社では「心理的報酬」が十分に行き渡っていますか。
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