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業種ごとに成長シートがつくれない理由

SPECIAL

人事制度コンサルタント

株式会社ENTOENTO

代表取締役 

会社を成長させる人事制度づくりで、700社以上の指導実績を誇る日本屈指のコンサルタント。日本の過去50年間の人事制度のつくり方とは異なり、経営者の評価と賃金の決め方を可視化してつくる画期的な人事制度は経営者から大きな支持を得ている。

経営者から依頼されることの最も多いことの1つに、

「私の業種の成長シートをください」

があります。業種ごとに成長シートがあると勘違いしている経営者がいかに多いかがわかります。

かつて、開催している成長塾に建築業で従業員数が同じ、事業内容も同じ経営者が4人一堂に集まったことがあります。4人の経営者はお昼休みに名刺交換をしながら嬉しそうな顔で、

「これから成長シートをつくりますが、たぶん出来上がりはみんな同じものになるんでしょうね」と、お互いに成長シートの完成を楽しみにしながら成長シートの作成に取り組みました。

成長塾の第1講座が終わったときに、その4人の経営者はお互いの成長シートを見せ合って驚きました。

「どうしてこんなに成長シートが違うんだろう!」

不思議そうな顔をして4人の経営者が私に質問しましたが、私の答えは簡単です。

「経営者が違うからです!」

経営者が違えば社員の褒めることは全く違います。期待成果も、重要業務も、知識・技術も、勤務態度も、全部違うのです。ですから、業種によってモデルになる成長シートがあると思ったら大間違いなのです。

「もし、他社の成長シートを使えと言われたらどうしますか?」と聞くと、「それは無理です」とこの4人の経営者は答えました。

ここに答えがあります。

成長シートは経営者が今まで行ってきた評価を優秀な社員をモデルにして作成しない限りは運用できないのです。

もちろんモデルの成長シートがあったとしても、そんなものは参考にする必要はありません。

なぜなら、今まで大変苦労はされたでしょうが経営をしてきました。経営とは社員の成長を促すことです。同じように成長することを願って社員を褒め、叱り、指導してきました。その基である成長シートは、経営者が評価してきたことを可視化しない限り完成できないのです。

これを理解するために、多くの経営者が長い時間をかけて成長シートの可視化を体験することになります。

業種別の成長シートに惑わされずに、自分の今までの経営を可視化していただきたいと思います。

そこにこそ、成長のヒントがあるとお考えください。

 

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