なぜ顧客を平等に扱う店は長続きしないのか
店舗ビジネスにおいて、顧客の重要性をあらためてここでお伝えする必要はないと思います。
その重要性を踏まえたうえでお聞きしたいのが、顧客対応についてです。
皆さんの会社では顧客の対応に差をつけていますか?
こう聞くと、
「うちに来るお客様はみんな大事な顧客だ!
対応に差をつけるなんてそんな失礼なことができるか!」
という声や、そういう表情をされる方が必ずいます。
私が言いたいのは、何もお客様に対して無礼なことをしたり、ぞんざいに扱ったりすることではありません。
基本的な対応とは別に、お得意様に対しては何らかのサービスや特典などの差別化をする必要があるということです。
「初めてのお客様も大切にしないといけないだろう!」という声も聞こえてきそうですね。
それは確かにその通りなんですが、それまで何回も利用されたお得意様に対してのサービスと初めてのお客様に対するサービスが全く同じというのはどうでしょうか。
自分が顧客の立場であったら、同じサービスで納得できますか?
ほとんどの方は何も言わないにしても、自分はこれまで相当利用したんだから、ある程度の見返りがあってもいいんじゃないか…と思っています(私も含めて)。
ごくまれに、お客様の方から、「私はこんなに利用しているんだ!何かサービスしろ!」ということもありますが、こういう方は大抵の場合、お得意様というほど自社を利用されていません。
そういう方はさておき、お得意様にはしっかりと差別化したサービスを提供し、継続して使っていただくことが店舗ビジネスの原理原則となります。
その一方で、新規客を集めるために割引やサービスクーポンなどを積極的に実施している店舗は多いですよね。
しかし、釣った魚にエサはやらないかのごとく、繰り返し使っていただいているお得意様に対して、何もせずにほったらかしの店舗は想像以上に多いのです。
あってもポイントカードぐらいで、その特典も、数百円程度の値引きや、つかわない、ほしくない、売れていないようなメニュー、粗品のプレゼントなど異様にモチベーションが上がらないものばかり。
初回利用時が一番お得にその店を使えるため、当然リピートするようなお客様は集まらず、優良顧客を自ら遠ざけている残念な店は多数存在しています。
まずは1回使ってもらって…という気持ちは痛いほどわかりますが、結局その特典だけを狙って来店する人のみが集まり、本当に来てほしいお客様がどんどん離れていく、というまさに本末転倒な状況を自らが作っていることを理解する必要があります。
理解したうえで、あらためて顧客化を促す施策を執り行わなければなりません。
そしてデータを集め、顧客を分類し、それを活用していくことが基本中の基本です。
顧客の分類方法としては、RFM分析が良く知られています。
簡単に説明すると、
R(recency:最新購買日)
最近購買した日
F(frequency:購買頻度)
どれくらいの頻度で購買しているか
M(monetary:累計購買額)
これまでの購買合計額
これらを単体、あるいは組み合わせて指標化することで、自社にとっての優良顧客を分類し、それぞれに応じたサービスの提供や、効果的な販促につなげていくことです。
このRFM分析は1960年代の米国通信業界を中心に広まったと言われており、現在では「古い」や「使えない」などの意見もありますが、それは使い方次第であり、私は非常に有力な分析方法の一つだと断言します。
むろん、RFM分析をつかってただ顧客を分類してもそれだけで業績が上がることはないわけで、その結果からどういう施策を行うのか、が重要です。
ただ、顧客の分類だけでも、「目立たないが自社に利益をもたらしている顧客」、「声は大きいが利益にはなっていない顧客」、など新しい発見は必ずあります。
顧客を平等に扱うのは、本当のお得意様にとって非常に失礼です。また、そのことで店舗を継続利用するモチベーションは低下していきます。
一方で、まだお得意様とはいえない方に過剰ともいえるサービスをすることで余計な勘違いが発生します。
その過剰サービスを継続しなければならなくなるのです。
しなければクレームとなり、そのお客様も当然離れていきます。
このようなことから、顧客対応の差別化は絶対的に必要なものと言えます。
平等に扱うのは結局、誰のためにもならないのです。
お得意様の分類により、その貢献度に見合った適切なサービスを実行していくのが店舗ビジネスの本質です。
皆さんの会社では、顧客対応の差別化をしていますか?
コラムの更新をお知らせします!
コラムはいかがでしたか? 下記よりメールアドレスをご登録いただくと、更新時にご案内をお届けします(解除は随時可能です)。ぜひ、ご登録ください。