30倍損をする社長、儲ける社長
「いや、オレだけ出社だ。夏休みは、みなさん休んでもらわないと。
今どき休みをきちんと取ってもらわないとブラック企業になっちゃいますよ。
オレは仕事好きです。貯まっているしね。」
多くの企業で、8月の旧暦お盆時期は、夏期休暇としています。
と、同じ期間「オレだけ出社社長」が、出現します。
普段、営業時間には電話対応や来客応対など、落ち着いて考える時間がもてないと嘆く社長さんには、半年に一回の救いの時間到来です。
しかし、出社してみると相手方不在で完成しない書類、電話応対に振り回される事態になったりします。
インバウンド・海外からの観光客に向けた新規事業を開始したところ、事業はうまく回り出したT社長さん、若いしやり手です。
新事業の事業所はすでに3カ所です。
さらに出店しないかと引き合いがあります。
業務拡大の引き合いがあるのに、対応できる人材採用が追いつかない。
人が揃わなければ、事業は拡大できない、それどころか、交代要員不足で、事業存続も不安です。
社長自ら採用に奔走しているので、普段なかなか書類の管理が出来ません。
新規の事業を社長自ら立ち上げたので、この事業に関する資料は机の上に山積み。
そこに、携帯電話が鳴りました。
現場事業所長から泣きの電話が入りました。
「シフトがうまくまわりません。人が不足です。スミマセン、何とかして下さい!」
またしても、緊急案件が発生です。
「人が財産だ」と思って「採用」を行っているのに、現場からは「また辞めました」と、人手不足の連絡がはいります。
「いったい!何なんだ!シフトの一つも組めないで、なんで所長なんだ!」と怒りたい気持ちを抑えて、状況を聞きました。
その後、他事業所長と連絡を取って、人の異動をお願いし、なんとか切り抜けできました。
「これではオレは、部下の下請けだ。」
責任者はオレだから、部下が出来ないところは、オレが仕事をする。
社長がシフトを組んでも、いい仕事=成果がふえてはいません。
成果はふえないのに、高い時給とる社長の時間を余分に投入する事になります。
会社のどんな活動も人が関わっています、時間を使います。
たとえば、採用は、募集要項の検討から、採用面接、住宅・作業服の発注にいたるまで、会社関係者の投入する時間は膨大なコストです。
シフトを組むにも、数ヶ月にわたる来店者数を予測し、対応する人材数を計算し、労働法規も勘案した従業員の作業時間案を作成し、個別の従業員の希望を聞く。
人の話を聞く時間もふくめ、この時間も膨大なコストです。
目には見えないけれど、時間こそ、最大のコストなのです。
さて、この会社最大のコストを削減する方法が、「30倍ルール」です。
「30倍ルール」とは、誰かに仕事を教えるときには、手慣れた人間がその仕事を完了できる時間の30倍の時間をかければ、出来るようになる、と言うものです。
「30倍もの時間をかけるくらいなら、自分でやった方がイイ」とすぐに考えてしまうのは、あなたに「不安」があるからです。
どうせ部下にやらせても
①満足に出来ないのでは?
②時間がきちんと守れるかな?
③オレのガマンできるレベルにならないのでは?…と思うからです。
「時間が無い」「人手が足りない」「効率上げたい」忙しい社長さんの悩みです。
「時間が無い」から「教えている暇はない」と考えます。
「人手が足りない」のだから、幹部であっても、現場作業員として、働いてもらう方がイイと考えます。
そして、その方が、「効率が上がる」と勘違いしてしまうのです。
これは、ひたすら、「緊急性思考」です。
平たく言えば、「その場しのぎ」の経営です。
ず~っと、このやり方をしている会社は、「効率が上がり」ません。
効率を上げるとは、時間価値を上げることです。
効率=成果÷投入工数(時間)
効率を上げるには、成果を上げるか、時間数を減らすかのいずれかです。
社長さんは、成果を上げる方が断然お好きですよね。
例えば、この人の手配、社長さんは手慣れており10分ほどでできたとしましょう。
この仕事は、少なくとも、300分=10分×30倍かければ、誰かに教えられます。
300分というと長い時間のように考えますが、効果を計算して下さい。
年に300日、社長がシフトに対処していたら、10分×300日=3000分です。
これが、教えると300分、節約できた時間は2700分です。
ちょっと待って下さい。
社長が、10分で出来る仕事を部下が5時間もかかると思われますか?
30倍は、くり返しくり返し、数ヶ月にわたってフォローする時間も含めてです。
おなじみのフレーズが使えるほど、教えることは、あなたの作業時間を削減する大きな効果がある「自明の理」です。
たった一つの業務を教えるだけで、年にあなたの時間を2700分=45時間も増化する。もはや これは時間削減ではなく、“投資”です。
ご自分の成果がでる業務に投資する時間を作る大事な仕事なのです。
損をしない社長は、無駄な時間の使い方をしません。
社長が給与を支払っているのに、社員の下請けでは、「価値」が上がりません。
30倍ルールで時間を投資するから、「社長の価値」は上がっていきます。
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