専門性を伝えることの大切さ―テレビ番組で初めて知った伝統職人の世界―
近年、日本の職人技や伝統技術を紹介するテレビ番組が増えています。それは宮大工の世界であったり、伝統工芸の世界であったり、美術品であったり、食べ物であったりと様々です。
これらの職人さんの世界は、なかなか後継者がいないために、伝統工芸などの技術の継承が危ぶまれるといった話をよく聞きます。こういった報道番組を通じてその世界知ることにより、若い人たちの中に「それをやってみたい。」といった人材が現れくれるのを願うばかりです。
ここで大切なのは、それまで多くの人が全く知らなかった職人さんなどの現場を、メディアがリアルに見せてくれた、ということです。そういった「場」を目の当たりにすることで、その世界への理解が深まり、リスペクトが生まれ、後継者が現れることへも繋がっていくと考えられます。
このことの原点は、何といってもまず「知る」ということになります。ここがないと何も始まりません。
そして、このケースではその媒体としての役割をメディアが担ってくれています。番組を通じて我々一般人は、職人さんが取り組んでいたびっくりするような技術や伝統の技について知ることになる訳です。
これは私がかねてよりお勧めしている
― 御社の事業内容やこだわりの思い、守ってきた伝統や信条、哲学、目指している理想像などを、発信可能なコンテンツとして抽出してまとめあげ、それを様々な媒体・・地方メディアやSNSなどを通じて情報発信すれば、強力な販売促進戦略として業績アップに貢献しますよ。―
といった考えとシンクロしてくるのではないでしょうか。
上記のテレビ番組では、職人さんの世界をメディア側が取材を重ねることで、一つの番組を作り上げていきます。その際に、人間国宝級の傑出した職人技のようなケースもありますが、昔から身の回りにある日用品を丁寧に作り上げていくといったものも少なくありません。
今まで日の当たらなかった場所に、メディアが光を当てたことで、我々の知らなかった現場や技術が見えるようになった訳です。職人さんが地道に続けてきたその世界は、そうやって光を当ててみると実に興味深く、奥行きのあるものだったのです。
私がお勧めしている方法論は、これとよく似ています。世の中の社長さんたちは、自分が普段取り組んでいる仕事は、日々のことなので「当たり前」と思ってこなしているのかも知れませんが、それを知らない世界の人から見れば、結構面白かったり興味深かったりするのです。
ただそれを、マスメディアなどが積極的に取り上げてくれる訳ではない、ということです。これは仕方がありません。日本の伝統工芸や職人さんの世界を、テレビなどで特集番組的な扱いとして取り上げるようになったのもようやく最近のことです。
こういった世界をひとつの番組として成立させるには、様々なハードルがあります。巷にある普通の会社を画になる番組として仕上げるには、余程ニュースになるような出来事でもない限り難しいでしょう。
だとしたら、ここはメディアからのアプローチに頼らずに、社長自らが発信していくしかありません。メディアからのアプローチを待つのではなく、メディアにこちらからアプローチしていくのです。そうすれば、情報発信がより確かなものになります。
特に地方メディアの場合、地域FMラジオとか地方新聞のコラムなどの場は比較的参加しやすい状況にあります。最初からテレビの画(え)で取り上げられる、という訳にはいきませんが、他のメディアでも伝える影響力はそれほど小さなものではありません。
また、画(え)をアピールしたければ、現代は写真も動画もSNSなどのパーソナルな媒体で発信しやすい環境が出来上がっています。文章や音声とともにビジュアルを届けることは既に不可能ではないのです。
職人さんの世界というのは、いわば専門性の研ぎ澄まされた世界と言ってもいいでしょう。そこまでのレベルでなくとも、専門性にまつわるいろいろなお話は面白いものです。
経営者は、率先して自らの専門性を様々な形で情報発信してみて下さい。それを熱心に見たり聞いたりしてくれる支持者というのは必ず世の中に存在するものなのです。
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