売上が落ちたときに、社長が絶対確認すべき数字
「数字ってどんな数字が必要なんですか?
決算書だったら見て下さい。昨年度は利益が出ていました。いままで売上は、ほぼ同じだったから、ここに来て急に売上が下がったので、驚いています。」
中小企業には、販売が強くて経営者になった方が多くいらっしゃいます。
社長さんのセールス力がつよいと、起業から一定のペースで売上が伸びます。
こういう社長さんは、お客様のニーズを聞き出すのがとても得意です。
セールスと値切り交渉は得意なのに、数字はイヤだと言う社長さんも多くいます。
「新規顧客数」「既存優良顧客数」そしてそれぞれの売上金額は、経営者であれば、必ずおさえるべき数字です。
「新規顧客数」だけ押さえていても、それでは片手落ちです。
40代の社長さん、順調に売上を伸ばしていたのに、今年は売上の伸びが鈍化しています。
気になる電話がありました。
社長の不在時に、かかってきた電話です。
「オタクの社長さん、このところ全く連絡来ないよね。忙しいのは分かるけど、相談にならないわよね~。」
「どうしたらもっとお客様をとれるだろう?」
会社を大きくしたい社長は、一つの方針を立てました。
「社長自らが、お客様の要望に応えてお客様との絆を深める。」
若くて、商品知識も深く、親身に答える社長にはすぐにお客様が出来ました。
時間があれば、立ち寄りし、声をかけていましたが、連絡が途絶えてしまったお客様もあります。
加えて、会社の規模が大きくなると、「売る」こと以外の仕事が出てきます。
社長は、新たに従業員が増やし、お客様獲得を熱心にすすめました。
売上は従業員の増化ほどには、伸びていません、横ばい状態です。
人を増やさないと、売上は伸びません。
一人が顔見知りになれるのは、150人が限度です。
一人の力では、売上は伸びないと思い、採用を増やしてきただけに、社長の悩みは深まります。
売上が落ちたとき、見るべき数字があります。
会社の収益を支えてくれている「優良顧客=超ごひいき様」の数字です、
優良顧客の人数が、全顧客人数の20%となり収益の80%を占めているとき、
会社の経営は、安定した状態となります。
新規の契約こそが、売上の源と考えていた社長さんには、そもそも、既存客という考えをもちあわせていませんでした。
今売上を下さるお客様のみ、お客様として真摯に付き合うと考えたのです。
見るべきと言われても、数字が出ないよ、と笑いながら社長さんは、契約書の綴りを取り出しました。
過去一年間の取引をお客様ごとに集計し、80:20の法則で上位客を選び出しました。
なんと、上位5%のお客様が、収益の35%を稼ぎ出していました。
上位15%で50%の収益です。
契約は一年間ではありません、中には創業の時からのお客様もいます。
既存客の価値は、その場限りの売上金額ではかれるモノではありません。
契約を継続させている間いただく売上は、顧客満足の値なのです。
突然、社長さんは、上位客がなぜ当社と取引を行うようになったのか、一気に話始めました。
話を聞いて 社員達は初めて、自社の優良顧客とはどんな人達か分かったと言いました。
気になる電話の主は、創業当時熱心な社長に仕事下さったお客様でした。
足繁く通って懇意にしていましたが、仕事が途絶え、連絡が無くなりました。
仕事が無いのに、営業に通うのは、お客様に購入を無理強いするようで、イヤだ、そんな行為は止めよう。と社長さんは思っていました。
しかし、お客様は寂しく感じていた訳です。
お客様は、商品を購入した先にちょっとした忠誠心を持ちます。
請求書の封が開けられるのは、忠誠心のおかげです。
自分の選択した会社が、信頼できサービスも充分である会社であってほしいと期待するのです。
期待し信頼を持ったお客様は、何度も何度も連絡を取り信頼が深くなれば、どんな商品もあなたから買いたいと思うようになります。
関係性が出来る事、それが販売の第一歩です。
一ヶ月後、大まかな一覧表ができたと、社長さんから声がかかりました。
表を作りながら、会社内では意見交換が出始めていたようです。
- 新規の契約ばかり追いかけた結果、契約するも一回こっきりでその後の売上に繋がらなかったのではないか?
- 上位取引先から大きな収益を得ているが、過去の流れを知らずに、応対がぞんざいになっていたのではないか
- では、どんな応対や特典が必要なのか?
数字の見方はすぐに習得出来なくても、改善と数字の変化は実感出来ます。
財務試算表は、社員にオープン出来ない経営者であっても、この客数や売上金額をオープンにすることの大切さは、すぐに理解しました。
数字は、正直に会社の果たしている役割を社長にも従業員にも教えてくれます。
社長は、過去に契約が切れ、現在取引がないお客様でも、関係を保てば、自社を何度も利用していただけるお得意様になるかは分からないが、まずは、連絡を取りました。
「たっぷり皮肉られたけれど、ご紹介をいただきました。ありがたい。」
既存顧客、特に上位20%、収益の80%を下さるお客様は、会社の生命線であり、収入源そのものです。
なぜ、取引をしていただけるようになったのか?
何が満足いただけて、今も取引いただけているのか?
新規顧客がふえていけなければ、売上はやがてしぼむ。
社長さんは、新規顧客から 既存優良顧客になるまでのストーリーを、改めて新規顧客の対応に生かすと話されました。
売上が上がっても下がっても、2つの数字、「新規顧客数」と「既存優良顧客数」
2つ同時に見つめて対策を取るのが、社長さんの大仕事です。
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