顧客名簿がない店舗の末路
店舗ビジネスをやっていく上で最も必要なもののひとつとして、顧客名簿、顧客リストなどの顧客情報があげられます。
これはどういう業態の店舗でも絶対的に必要なものです。
例えば日用品の量販店や、ファストフード店などの客数が非常に多い業態でも把握をするべき情報だと私は考えます。
極端に言えばコンビニでもあったほうが良いと思っているくらいです。
これは単なる購買履歴を言っているのではなく、しっかりと一人一人に紐づいた情報としての顧客名簿やリストのことです。(たとえば氏名、生年月日、趣味、嗜好など)
半径数百メートルの狭い商圏で、高頻度利用、さらに低価格であり、購買決定に時間をかけないモノ、サービスの場合、店舗側はお客様個人の細かい情報はあまり把握していない店舗が大半です。
要は店舗側からなにもしなくても、普段使いのため来店頻度も高く、関係性をつくらずともリピートしていただきやすいからです。
また、マス(集団、多数、大衆)をターゲットにしているため、あまりに細かい個人の情報は使いようがなく、大まかな分類での傾向をつかむことが重要であったことも理由の一つでしょう。
しかし今やアマゾンをはじめとしたネット企業はマスをターゲットにしているにもかかわらず、いままで実店舗が苦労して収集していた顧客情報をテクノロジーを存分に活用し、もっと細かく、膨大な量を収集し、蓄積しています。
それをもとに、一人一人に対しての嗜好、需要に合わせた広告宣伝が可能になり、まさに痒い所に手が届くサービスになりつつあります。
したがって、マスをターゲットにした実店舗型の大企業でも、顧客情報の活用を1to1でおこなっていくことが必須となるでしょう。
ポイントカードやメンバーズカード、メルマガやSNSなど、今は様々な手段で収集可能ですので、自店のサービスに合わせた内容の顧客リストを積極的に収集、活用しなければこの先、どんな老舗大企業であっても生き残れないのは確実です。
一方で、中小零細の店舗ビジネスにおいて、顧客名簿やリストを収集、活用しているところは経験上、非常に少数であると思われます。
規模が小さい企業で、ターゲットをマスにすることは論外です。
基本的には客層を絞り込む必要があり、絞り込むからには、そのお客様にリピートしていただかなければビジネスとして成立しません。
となれば、顧客個人の情報を詳しく知り、店舗側からのアプローチを可能にしておく必要があることは言うまでもないことです。
実店舗の強みは顧客との接点が直接的であることです。
ネット上とは違い、顔と顔を直接合わせ、直接話し、直接その表情を見ることができます。
実店舗では、そういった定性的な情報を積み重ねていき、サービスに利用することが今後さらに重要になってくるのは間違いありません。
そうやって積み重ねた顧客情報は莫大な価値を生み出します。
それこそが競合他社との差別化につながる独自性となるのです。
モノやサービス自体も強みとなりえますが、いずれ陳腐化します。
真似され、それを超える新たなサービスが必ず出てきます。
その点、自社で積み重ねた膨大な顧客情報は新たなモノ、サービスをつくる原料となり、企業の未来を創ります。
これほど重要な顧客情報を、そもそも収集していない店舗が未だに多数存在します。
顧客名簿やリストがあったにしても、活用せず、宝の持ち腐れになっている店舗も多いでしょう。
顧客に支持されなくなれば、店舗は潰れるしかありません。
大半の店舗は自らその状況を作り出しています。
まずは自店を利用していただいている顧客の顔と名前くらいは一致させましょう。
これは商売の基本中の基本です。
名簿が無ければすぐに作りましょう。
「いや、うちは客数も多いし、個人情報を教えたがらない顧客も多い。今までどおりでやっていけるよ」
といっている経営者、および店長の方々。その店の人やモノやサービスが好きで使ってくれている顧客は、自分のことをもっと知ってほしいものです。
断られるのはそもそも店が支持されていない可能性が高いです。
まずは自店が提供しているモノ、サービスを見直して、作り直すことも視野に入れてください。
顧客名簿の収集どころか店自体がなくなります。
客数が多い状況がこのまま続くと思わないようにしましょう。
結局は地道な努力が永く儲かる店舗の絶対条件なのです。
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