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マーケティングではなく「情緒」が売上をつくる。

SPECIAL

商品リニューアルコンサルタント

株式会社りぼんコンサルティング

代表取締役 

商品リニューアルに特化した専門コンサルタント。「商品リニューアルこそ、中小企業にとって真の経営戦略である」という信念のもと、商品の「蘇らせ」「再活性化」「新展開」…など、事業戦略にまで高める独自の手法に、多くの経営者から注目を集める第一人者。常にマーケティング目線によって描きだされるリニューアル戦略は、ユニークかつ唯一無二の価値を提供することで定評。1969 年生まれ、日本大学芸術学部文芸学科卒。

先日、知人が緊急入院しました。

救急車で運ばれ搬送先の病院で簡単な手術をすることに。さまざまな条件が重なり、麻酔は座薬の痛み止めを使用。その効果は虚しく、我慢できないほどの痛みだったそうです。痛い痛いと唸りながら手術が続く中、ある一人の看護師さんがやってきて、そっと手を握ってくれたそう。知人はその時から痛みが半減し、すごくラクになったとリアルに語ってくれました。

もう一つ、ある友人の話から。ご経験があると思いますが、会社の健診で胃カメラを飲む場面です。鼻からカメラをいれるケースもありますが、とにかくそういう検査はストレスがかかるものです。友人の場合は看護師さんが背中をさすってくれてすごく安心し、精神的負担と痛みが軽くなったそうです。スキンシップこそが一番の薬であり言葉通りまさに「手当て」です。

こうした触れる行為=スキンシップは、脳内物質「オキシトシン」や「セロトニン」を大量に発生させると言われています。オキシトシンはお母さんが授乳している時にたくさん生まれる脳内物質です。「幸せホルモン」と呼ばれ、痛みを軽減させる効果があると言われています。看護師さんは大丈夫ですよ、という「温かみ」や「思いやり」を、スキンシップという行為によって示し、それによって患者のストレスを軽減させ、薬では抑えられなかった痛みさえ半減させているのです。

よく考えてみたら、これはスゴイことです。私たちは「人」として思いやりを行為で伝えることができ、それを受け取ることができます。生理的にもそれらを受け取り、感覚を麻痺させる脳内物資が生じるのです。つまり、人の感情や心、言い換えれば「情緒」こそが、人の行動につながっていく。痛みや辛さを軽減させて希望のようなものを育てる。結果、人を動かすのではないか。有機化学に基づく方程式によって生まれた「痛み止め薬」でも、看護師ひとりのスキンシップにはとうていかなわないんだ。人ってスゴイな。そう改めて考えさせられました。

「情緒」とは、広辞苑(第六版)によれば「折にふれて起こるさまざまの感情。情思。また、そのような感情を誘い起こす気分・雰囲気」と説明されています。「人の中心は情緒である」と言ったのは、数学者の岡潔氏(1901-78)ですが、氏は著書の中で、日本の四季、季節の移り変わりのなかで育まれた感情や気分、自然と共に生きる価値観など影響されていると説いています(春宵十話/光文社文庫)。

面白いことに今、こうした日本人の細やかな情緒から生まれた商品やサービスが、世界で注目され次々ビジネスになっています。盆栽、禅などの文化的価値から医療、介護のサービスなどきめ細やかな日本式の商品サービスが評価されています。

一方私たちの周りでは、たくさんの手法、ノウハウであふれています。当然、SWOT分析、3C分析、〇〇分析などは当たり前。調査と分析でしっかりと自社を俯瞰できているはずですが、世界が日本式の商品サービスを欲しがって初めて気づくのです。海外では、日本式が無かったからビジネスチャンスとなる。日本にいる私たちは日本式が「当たり前」だから気づかない。そのような構図を事業経営にあてはめてみると「自社ビジネスの魅力に気づいていない」ということです。

人には情緒があり、情緒で動く。この重要性に気づいた会社は強いです。お客様の願望に気づき、細やかに対応することができます。さらに、こうしたことは社内にも浸透しはじめ、コミュニケーションが豊かになる、経営者自身が定年退職後の社員の第二の人生などまで思いを巡らしていたりと、非常に情緒豊かな会社に成長し、自社の魅力に気づきやすい環境、自社の魅力を作り出す環境を築けるようになり、それがお客様に伝わり人が集まる、善循環を生み出すのです。

マーケティングが売上をつくる。手法やツールが売上を生む。それは本当ですか?

今一度、真剣にそのことを考えて欲しいのです。

「痛み止めの薬で痛みが治まる」。それは本当ですか?

人は、お客様はそんなものでしょうか?

お客様が本当に欲しがっているのは、薬ではなく手当てなのではないか。薬もノウハウもツールも時代がパッと変われば、たちまち常識が変わり使えなくなります。そして何より人の心も日々変容してゆくものです。

商品サービスをつくる。これらが古くなったらリニューアルして改善し、それを買っていただく。売上があがる、上がり続ける。この主人公は「お客様」です。お客様の心が動いて買ってくださるから、売上が生まれるのです。お客様の心を知らなければ、売れる商品サービスをつくることはできません。人の情緒こそが売上をつくるのです。そのことを十分に理解した上で、お客様の心に向かっていかない限り、どんな優れた手法も無駄になってしまいます。

人の心を知らなければ、緻密さにかけて粗雑になります。お客様への細やかな心配りができません。想像できないということは、結果お客様心理を無視することになります。それは「方程式」を作って売ることとは真逆の考え方です。送り手である私たちがお客様の心を無視すれば、当然、送り手はお客様から無視されます。商品サービスを買っていただけません。方程式で事業経営ができるなら子供でもビジネスができるということです。

お客様の心を知る。

それは難しいことではありません。お客様の心を知るとは、ご自身の心を知ること。いま一緒に生きている身近な方の心を知ることであり、社員の心を知ること、取引業者の心を知ることです。一人一人がお客様であることはまぎれもない事実です。

まず「心」あり。どんなに小さな会社でも、どんな経営者でも社員でも、人には必ずハートがあります。人との出会いも含め不運なビジネス環境の中で事業に対する「考え方」が曇ってることがあるかもしれません。しかし、創業時は「心」をもって事業をスタートされているはずです。シンプルに「お客様を喜ばせたい気持ち」であったり、社員や家族を想う気持ちであったり、そんな小さなことです。結果、それが魅力に変換できる核になるわけです。お客様にとっての、魅力という核。

企業を導くコンサルタントがそこに気づくことが非常に大事です。この気づきこそ、クライアント企業が「お客様の情緒を知る」ことへとつながる一歩となるからです。しかし、実際には「会社否定」から入るコンサルタントが多いのも事実です。否定した挙句、ノウハウや手法、ツールをたくさん提供しそこでフィーを稼ぎ、企業側はお客様心理の重要性がわかっていないから策が無駄となり、どちらにとっても不幸な関係に陥りがちです。

弊社のお客様は中小企業であり、ご夫婦二人の最小単位でビジネスをスタートさせた会社などもあります。第一回目のコンサルティングのプログラムでは、自社でやってきたこと全てをあげていただくことからスタートします。その工程の中で必ず出てくる言葉が「うちの会社には強みなんて一つもありませんよ」とか「いいところなんかありません」です。「うちみたいなボロ会社が・・・」と謙遜を交えながら言葉にする方もいます。「うちは〇〇が強みですよ」とおっしゃる場合でも、売上的な数字で語られる場合が多く、それ以外の強みが出てこない、または自社がやってきたことを書けないケースがとても多いのです。

これが示すことは、非常に厳しいことを申し上げますが、まったくお客様を見ていない、お客様の心を無視している、ということです。いかがでしょうか。

もしも自社にたった一人のお客様がいる限り、そこには「理由」があるはずです。お客様にとって、他の会社ではないその会社を選んできてくれる「魅力」があるから来てくれるのです。そこを想像できない、ということ自体が問題なのです。だれかにとってはボロ会社でも、来てくださっているお客様にとっては看護師の手、なのかもしれないのです。そういう情緒に気づかなければなりません。

自社の魅力、持ち味、強みに気がつくことができたら、お客様の情緒に対しても開眼します。ひいては、ビジネスの核となる日本式情緒に気づき、独自性のある商品サービスを企画していくことができます。

商品リニューアルとは経営そのものであり、自社に対する「考え方」のリニューアルに他なりません。御社が囚われている考え方を一度壊して、再構築する非常に厳しい道です。厳しいですが、私は御社の魅力や持ち味を発見することができます。なぜなら、顧客心理のプロだからです。時に言葉で、時に手当てで寄り添いながら新しいフェーズに導くためのコンサルタントとして、私は在ります。

マーケティングもノウハウも知っておく必要があります。しかし、売上は頭でつくるのではない。お客様の情緒、心がつくるもの。そこに気がつけば、どんな難題も面白いように解けてゆきます。

次は御社の番です。6ヶ月間、一緒に前進していきましょう!

 

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