第45話 社長の仕事は「つながりの感情」を育むこと。
「ソノダさん、人事異動について社員に説明したら、”強行したら出ることろに出ますよ!”とものすごい反発に遭いました。法的には問題ないですよね?」顧問先の人事担当役員からの相談です。
私からは、人事異動については就業規則にも明文化していますし、異動の必要性があって、丁寧に調整されているのでしたら、手続上は問題はありませんよとお答えしました。担当役員はホットと安心した様子です。
上述のように、問題が起きた時にあわてふためいて、法律上は大丈夫か・・、労基署から突っ込まれないか・・、裁判にはならないか・・、労働組合が争議行為を起こさないか・・とヤキモキする経営者は少なくありません。
弊社では、そうした”組織マネジメントの状態”を、”(要)正常化レベル”と捉え、会社組織を守る対策を最優先して講じます。
具体的には、問題を起こしている社員と面接を行う、混乱が落ち着くまで自宅待機を命じる、懲戒処分を行う必要があるか検討する、労働組合と団体交渉を行う準備をする、同様の問題が起きないよう就業規則を整備し直す、といった対策を講じて、とにかく現場の業務が遂行できる状態に正常化(回復)させます。
ところが、こうした対策は、前述のとおり、会社組織を守るための応急処置です。大切なことは、問題を起こしている社員は氷山の一角であり、実は現場全体が、経営者に対して疎外感や不信感を抱いているかもしれない、問題の根本的な原因は経営側にあるかもしれない・・・という危機意識を持つことです。
そして、最優先すべき対策が落ち着いたら、”会社組織を守る対策”だけでなく、”社員を守るための対策”を講じなければ、トカゲのしっぽ切りのように、問題を起こす社員は後を絶ちません。
それでは、経営者は、”何から社員を守る”のでしょうか?それは、”社員が疎外感や不信感を抱くような職場環境から守る”ということに他なりません。
当たり前のことですが、社員は、経営者に対する疎外感や不信感が募れば、自分自身の身を守るために、会社ではなく、社員自身に都合の良い言動をとる、そして問題を起こすという負の連鎖に陥ってしまいます。そして、この負の連鎖に陥った社員を利用して、経営者を懲らしめてやろうと目論む第三者がいることも忘れてはなりません。
(負の連鎖)疎外感・不信感→社員の保身を優先→社員に都合の良い言動→問題
この負の連鎖を断ち切るためには、疎外感・不信感の対極にある感情、すなわち、”社長から期待されている、この会社で働いていて良かった、社長について行けば私も人生の目標を達成できる、成長できる。”という感情を育むしか方法はないのです。
弊社では、この感情を”つながりの感情”と呼んでいます。経営計画を説明したり、社員と面接したり、業務改善活動を行ったり、これらのマネジメント手法は、全て、この”つながりの感情”を育むためにあるのです。
あなたは、問題社員への対策に一喜一憂していませんか? ”つながりの感情”を育むことで、社員を守り、真の意味で会社を守りたいとは思いませんか?
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