店舗ビジネスで成功するために知るべき絶対法則
モノやサービスを購入するときの人間の行動には法則性があります。
そして店舗ビジネス経営者が絶対に知るべき法則は以下の2つです。
まず1つ目は顧客側の法則として、
“AIDA(アイダ)の法則”
そして2つ目がサービス提供者側の法則として、
“ALPC(アルパカ)の法則”
以上が挙げられます。
1つ目のAIDA(アイダ)の法則ですが、これについてはご存知の方も多いと思います。
この法則は、1920年代に応用心理学の分野で米国のE・K・ストロングが論文中に示しています。
念のために説明をしておきますと、
Attention(アテンション、注意)
Interest(インタレスト、関心)
Desire(デザイア、欲求)
Action(アクション、行動)
の頭文字をとったもので、セールスにおける顧客心理の段階を表しています。
この順番で顧客の心理、行動は変化していき、モノやサービスの購買行動を説明できるのです。
まずそのモノやサービスについて見る、
あるいは聞く、読むことによってその存在を知り、(注意)
次第に自分にとってどんな価値があるのか興味を持ち始めて、情報を集め、(関心)
そのモノやサービスが自分の問題を解決したり、利益をもたらしてくれることがわかり、手に入れたく、または利用したくなり(欲求)
モノやサービスを実際に利用できるようにすべく、細かい条件をすり合わせ、購買する。(行動)
基本的には世界中のどんな人間もこの順番で購買行動を行います。
この一連の行動は狩猟採集民であった時代よりの名残であることはほぼ間違いないでしょう。
ということはつまり、この顧客心理の段階を知ったうえで様々な戦略を立てていけば、非常に大きい効果が望めるということです。
逆もまたしかり。この自然の流れを無視すると、効果どころかクレームにもつながりかねない、重要な法則です。
私が思うに、知っている人は多いが、活用しているのはごく少数だという法則の良い例だと感じます。
また、現場でも本部でも使える非常に強力な法則にもかかわらず、ほとんどの人が理解も中途半端で、非常にもったいないことをしています。
経営者の皆さんは特に自分のものにしていただきたいと強く感じます。
少し話はそれますが、AIDAの法則と似たようなもので、AIDMA(アイドマ)の法則やAISAS(アイサス)の法則などがあります。
どちらも顧客心理を段階的に表したものであり、ここで詳しい説明は割愛しますが、アイドマはアイダとほぼ同じ意味で、アイサスはネットでの購買行動に対しての法則となっています。
ただ、基本的な購買行動はAIDAの法則ですべて説明できるので、ここでは軽い紹介にとどめておきます。
さて、AIDAの法則は顧客側の心理を表したものであり、それだけ知っていてもなかなか活用に結びつきません。
そして、その顧客心理に合わせた、モノ、サービスの提供者の行動、すなわち店舗側の行動が実はほとんど説明されていないのです。
これはまったく無いということではありません。
セールスのノウハウは世の中に山ほどあります。
ただ、AIDAの時系列とは切り離して、提供者側の行動やテクニックなどが点と点でバラバラに紹介されていることが大半なのです。
これの何が問題かというと、提供者側が、顧客心理を無視して、その時に必要とされていない行動をとってしまうことで、購買されないどころかひどいクレームになってしまうことがあるからです。
よくあるのが、販売員や営業マンが売上獲得をあせるばかりに、目の前の顧客は関心も欲求も全くない様子なのに、商品のプレゼンを怒涛の如く始めてしまう…といった状況ですね。
この状況だとまず売れませんし、その見込み客は100%戻ってきません。
逆のパターンもあります。
例えば飲食店で、お客様はメニューだけではわからないことが多く、ホールスタッフに聞きたいのに誰もいない。
それでも料理に関心を持ち、頼みたい欲求が出てきているときに結局タイミングが合わず、もういいか…と、あきらめかけていたら、やっと来た!
ところがあれこれ質問しても料理のことを何も知らない…(これは論外)
我慢して頼んでみるが、まさかの品切れ…(これまた論外)
見かねた店長があとからわかりやすい、すばらしい料理の説明をしても後の祭りです。
対応のズレがあるうえに、知識も在庫もない。
スタッフ教育や在庫管理の話になると長くなりますので、ここでは顧客心理の流れでの話を進めていきます。
お客様の心理に合わせた対応ができていれば全く違う状況になります。
まずお客様の満足度が跳ね上がり、その時の客単価は確実に上がります。そのことでリピーターになる可能性も高くなり、口コミで紹介してくれることもあります。
このことをまずは経営者の皆さんがしっかりと理解する必要があります。
そしてその顧客心理に合わせた対応を実現する店舗側の法則として、“ALPC(アルパカ)の法則”があります。
これは弊社が独自に具現化した法則であり、AIDAとしっかりと結びついた法則となっています。
Approach(アプローチ、導入)
Listening(リスニング、傾聴)
Presentation(プレゼンテーション、提案)
Closing(クロージング、締結)
の頭文字をとったもので、AIDAと同じく時系列で並んでいます。
まずお客様の注意を引くウェブやチラシ、店頭の看板やメニューなどで見込み客へとアプローチを図る。または小売店であれば入りやすい雰囲気をつくり、お客様に警戒心を持たせない(導入)
次にお客様に関心を持っていただけるように、お客様のニーズやウォンツを知る傾聴を行い、的確な質問で関心度を高めていく(傾聴)
お客様個別の状況、条件に合わせたモノ、サービスの提案を行い、欲求を適度に刺激する(提案)
お客様が購買しやすい環境を整え、安心感を持たせ、軽く背中を押す(締結)
この順番が大事であり、お客様が一体どの位置にいるのかを知ることが最優先されるのです。
お客様によって、どの心理状態なのかはバラバラです。
アプローチから始める必要があるお客様もいれば、クロージングだけでいいお客様もいます。
小売店はアプローチから始めることが多いでしょうし、飲食、美容、サービス店は来店=購買であり、アプローチはあいさつ程度で、傾聴から入るべきでしょう。
もしくはプレゼンテーションからでもいいかもしれません。
予約が入っているからと言って、すべてをすっ飛ばしていいということでもありません。
難しいのですが、お客様によって違うのです。
この顧客心理の流れは来店以前から始まっています。
とにかく、お客様がどういう心理状況で、何をしてほしいのか、何を望んでいるのか、をスタッフがよく観察し、洞察することが重要です。
その上で状況に見合った最適な行動をとることが現場スタッフの最重要な仕事になります。
ちなみにALPCの法則の中で、店舗現場が一番出来ていないのが傾聴です。しかし、この傾聴が実店舗では最重要なのです。
なぜならば、お客様の潜在的なニーズやウォンツを見つけ、それに見合った提案をするには傾聴が絶対的に必要となってくるからです。
店舗ビジネス、特に実店舗ではそこが差別化の源泉となりえます。
ネット通販やAIの勢いが増してきている今、人と人とのコミュニケーションの価値が必ず上がってきます。
ただし、価値が上がるのは圧倒的なサービスとスキルに裏打ちされたコミュニケーションです。
今後、店舗ビジネスは人のサービスと、それ以外とに二分されるでしょう。
だからこそ、まずはアイドマのような人間心理の基本を知るべきではないでしょうか。
話を戻して、これまでをまとめますと、
1.
店舗Approach(アプローチ、導入)
↓
顧客Attention(アテンション、注意)
2.
店舗Listening(リスニング、傾聴)
↓
顧客Interest(インタレスト、関心)
3.
店舗Presentation(プレゼンテーション、提案)
↓
顧客Desire(デザイア、欲求)
4.
店舗Closing(クロージング、締結)
↓
顧客Action(アクション、行動)
以上の時系列の流れを合わせることが重要なのです。
弊社ではこの流れをセールスフローと呼んでいます。
顧客によって、どの位置からのスタートになるかは変わります。
そこを敏感に感じ取らないと、このセールスフローは、各々の段階がずれるだけで、顧客のストレスとなり、成果には結び付きません。
業種業態によって多少異なる部分もありますが、本質的な絶対法則として、すべての店舗で活用できます。
広義の意味では店外の広告宣伝から顧客フォローまでを網羅できますし、狭義の意味では店内の接客サービスの流れとしても使うことができます。
まずはこの2つの絶対法則を知ることで、戦略をつくり、戦術に落とし込むことが成果を上げる一番の方法です。
属人化を防ぎ、店舗運営を仕組み化するには、まず人の特性を知ることです。
AIDA、ALPCの法則は人間の不変の行動原理をもとにしています。
もし、今活用されていなければ、是非すぐに取り入れてください。
しっかりと実践すれば、必ず成果が表れます。
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