銀行取引で失敗しないために社長が知っておくべきこと
融資というと、よく「いかに銀行から資金を引っ張るか」とか「金利をどれだけ下げられるか」といった表面的で小手先の戦術論を熱心に取り組む人がいます。しかし、それは間違いです。
どんな経済環境下においても強く永く勝ち残っている社長は、5年後、10年後、自社の財務を具体的にイメージし、未来から逆算した自社独自の財務戦略を持っているものです。日々の経営判断は、自社の財務戦略に沿ったものになりますから、決してブレることなく、最短距離でゴールに達成することができます。
その一方で、財務戦略のない会社は、判断の軸になるものがないため、日々の経営判断が場当たり的なものになってしまいます。そうなると、極端な場合、銀行の担当者にいわれるがままに不動産担保や連帯保証を提供したり、あるいは、必要もない金融商品などを購入したり、会社にとって不利な条件での借入や社債発行などをしたりしてしまうのです。
財務戦略を持たず、やみくもにお金を借りていれば、財務はいずれ悪化します。矛盾するような話ですが、実際のところ、銀行は、会社側の財務は厳しくみる一方で、会社の財務を棄損するような取引を様々なセールストークで持ち掛けてくるのです。したがって、社長にとって、「銀行が言ってきているから大丈夫」とか「銀行の提案は断れない」という思考停止こそが最もキケンなことなのです。
常に、安定的に金融機関から資金供給ができている会社は、「会社」が「銀行」を選ぶという最もシンプルで重要な考え方を知っています。だからこそ、銀行のどんな動きも見逃しませんし、常に、自社にとって好ましい状況を創り出し、維持するということに真剣に取り組んでいるものです。
会社が銀行を選ぶということは、銀行側に、「当行に融資させてください」「ウチの銀行なら、御社に融資を通じて役に立てます」と感じさせなければなりませんし、社長には、銀行や銀行の担当者、支店長の力量を見定めるための「選定眼」が必要です。なぜなら、「今ここでお金を貸してくれるから付き合う」という発想だけでなく、将来にわたって建設的な関係を構築できるかどうかという判断が不可欠だからです。
経営資源が限られている同族会社こそ、銀行だけでなく、誰が見ても「取引したい」と思うような強い財務体質の会社、つまり、「儲かって潰れない」「利益を出してお金が残る」強い財務の会社を本気で目指すべきなのです。
ダイヤモンド財務®コンサルタント
舘野 愛
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