経営に必要な4つの目
「ウチの社長の話しはあまりに壮大過ぎて理解できないんですよね…」
「ウチの社員は目の前の事ばかりに気を取られて困るんだよね…」
「ウチの上司は昔のやり方ばかりを押し付けてきてやってられないよ…」
弊社にお越しいただく方の口からよく出て来るご相談です。それぞれの立場や価値観、求められる仕事や優先順位の違いなどによって見るべきポイントも違ってきますが、当然そこがズレたままの状態ではコミュニケーションがうまく取れず、結果、仕方なしに上辺だけの仕事を進めてしまっているケースが多いように感じます。
現場の仕事をする社員にとっては、今日やるべき仕事が一番大事で、それをこなすのが最優先。3年後、5年後の未来を描けと言われても、「そんな事考えたことがありません…」となります。一方、経営者から見ると、「その日・その時やる事だけを考えていてもダメだ、ちゃんと目標に向かって成長して行かなければ、いつまで経っても今の延長線上でしかないじゃないか…」となり、現場の長である管理者は?と言えば、「いやいや、とにかく私と同じようにやれば結果が出るって言ってるじゃないか…」と、まるでテープレコーダーのように繰り返します。
これらは三者三様…それぞれ違う視点で話しをしてしまっているワケですが、それでは、経営者がこの視点のズレをコントロールするためには一体どうすれば良いのでしょうか?“4つの目”で考えて見たいと思います。
まず一つ目。経営者には、広い視野で物事全体を捉える視点はとても重要です。いわゆる「鳥の目」と言われるものです。地図を見る時でも、いきなり細かな場所を見るのではなく、全体を見て自分の立ち位置を認識することはとても重要で、頭の中の整理がしやすくなります。ただし、これを社員にきちんと理解してもらうためには、大まかな成り立ちや目的をきちんと伝えなければなりません。本で言うならば目次にあたる部分です。目次の無い本は見たことがありませんが、多分、読む気になりません。何故ならどこに何が書いてあるのか分からず、ゴールが見えないからです。
次に、その日・その時・その場所の現場を見る視点…こちらは現場の社員だけに必要だと思われがちですが、経営者にとっても非常に重要な目線で「虫の目」と言われるものです。顧客と接する現場や顧客に届いた商品(現物)、報告書に頼らないありのままの出来事を自分の目で確かめ、嘘偽りは無いか、自社は顧客からどう評価されているのか?という現実を知ることから目を背けてはなりません。事実を知り、現場に何が必要なのかを把握することも経営者の大事な仕事です。
そして三つ目は、時代の流れや顧客ニーズの変化を敏感に感じ取り、柔軟に変化していくために潮の流れを読み取る視点…「魚の目」です。魚には川全体の流れは見えていませんが、体で感じます。どの方向に流れ、どう対応するべきか瞬時に判断し、他社よりも一歩でも早く動いていかなければ生き残ることはできません。社内には、過去の成功体験と勘だけを頼りに部下を指導している管理者がいるかもしれませんので要注意です。これまでの実績を適正に評価しつつ、時代の変化に沿った成長を促し、未来への道筋を示すことは経営者の大切な役割です。
最後に四つ目…。これは私の勝手な感想ですが、社長自身にいたずら心やユーモアのある一面があると、社内は絶対的に和みます。「お茶目」です。毎日数字とニラメッコで売上拡大も良いですが、暗く重い会議ばかりしていないで、たまには子どものようにはしゃいでみてはいかがでしょうか?完璧を目指す社長も格好良いですが、皆んなを笑顔にさせる会話のセンスを磨くことも大事です。社員や取引先、その先のエンドユーザーをも巻き込んでワクワクさせるお茶目さは最も大切な経営視点だと私は思います。
経営者の皆さま。貴方には目がいくつありますか?遠くや近くを見る目、肌や直感で感じ取る目、そして心で感じる目を持っていますか?これらをうまく伝えることができれば、社員は、仕方なしの上辺だけの仕事はしなくなるはずです。第一、社長自身が楽しくなりますよ。
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