第53号:安定成長する企業は自社の市場を正しく見据えている。先細りする企業は自社の市場を誤解している。
先日の経営相談で「自社の強みがよくわかりません。どのようにして見つけたらよろしいでしょうか」と質問を受けました。
このような相談をされる経営者の方は、たくさんおられます。その時、私はこう伺います。
「御社の戦う市場はどこですか?」
このときの経営者さんは「住宅業界です」とお答えになられました。
多くの方は自分の市場とは自社の業界のことと捉えておられます。そして自社の業界の中で、いかに他社と差別化を図るかということに一生懸命になっておられます。そうした場合、自社と他者の差別化ばかりに意識が片寄り、他社より「耐震性に優れています」とか「機密性断熱性に優れています」とか、商品自体の差別化をひたすら図ろうとしていることが多いです。
ところが消費者側からしてみれば、どの会社も同じようなことを言っていて、実際には何が違うのかが分からなくなってしまうのです。そして商品の違いではなく、人の違いに目が行くようになります。したがって、最終的には商品の差別化で売れるのではなく、価格の値引率や営業マンの人柄で決まっていくことになります。
消費者は他社と差別化された会社を探しているのではありません。自分にとって最も適した会社を探しているのです。消費者は自分のことにしか関心はありません。
よって、自社の市場とは対象となる顧客市場になるのです。
どんなニーズを持ったお客様の市場で戦うのかを理解していれば、お客様にとって何が最適な商品なのか、何が最適なサービスなのかがわかります。
他社と差別化をして、他社がやってないことをするというのは話題性があり、関心をもたれるかもしれません。広告効果もが上がるかもしれません。しかし、その内容が顧客のニーズや購買心理を的確に捉えていなければ、見に来るだけで契約にはつながらないのです。
興味関心を持つということと、信頼をして契約していただけるというのは違うのです。
お客様は、実際に購入の意思決定をする際には様々な心理的不安がこみ上げます。その不安を理解して、安心できるシステムや顧客対応が差別化の最大のポイントになるのです。
このように、自社の市場を正しく見ている企業は、会社の魅力が消費者に伝わりやすくなり、最終的に選ばれる会社になるのです。
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