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第44話 社長の仕事は ”しがらみのない論議の場を持つ” こと

SPECIAL

プラチナ社員づくりコンサルタント

株式会社園田コンサルティング

代表取締役 

労使交渉1千回以上の実績から、社長と社員の夢を一体化する仕組みを体系化、「プラチナ社員づくり」コンサルティングを行う注目のコンサルタント。ブラック社員をつくらず、社長の夢に共感して一緒に働いてくれる社員を独自の対話方式で生み出す仕組みづくりは、人手を多く活用する企業から熱い支持が集まる。

「ソノダさん、採用が困難になってきているので、職場間の業務応援をしてもらおうと、社員を説得しているのすが、すんなり協力してくれそうにない。社員の気持ちが全く分からなくなりました。どうしたものでしょう・・・。」顧問先の社長の言葉です。

経営ビジョンや事業計画、日常業務のあり方について、社員が心の中で本当はどう感じているのか、実行にあたって支障があるとすれば、それは何か・・・そうした不安を日々抱きながら現場と向き合っている社長やマネジメント層は少なくない・・・中小企業においても、これが実態ではないでしょうか。

実は、労働組合のある企業では、この不安を労使で解消し、会社と社員が幸せになる仕組みを持っています。今回はその仕組みの一端をご紹介したいと思います。

良識的な労働組合と、良好な労使関係を築いている会社では、全社的な経営計画から現場における月次の作業工程に至るまで、労使協議会の場を通じて、経営者の考えを現場に伝え、現場の社員の考えを経営者にフィードバックするという、仕組みを確立しています。

当たり前のことですが、こうした労使協議会の仕組みは、会社のマネジメントの仕組みの補完的な機能として位置づけられています。しかしながら、会社の仕組みだけでは、現場の実態を把握するには不足があるため、労使協議会を通してもたらされる情報を、経営判断の重要な材料のひとつにしている経営者は多いのです。

経営者が労使協議会を活用する理由は、労働組合が、経営や日々の業務に対する”社員のこだわり”について把握・分析し、経営者に対して、”実のところ現場はこうなっていますよ・・・”と経営の舵取りに必要な情報を、タイムリーに示唆してくれるからに他なりません。

当の労働組合も、会社と社員の幸せを共に実現するという価値観の下、会社が拾いきれない現場の声を把握・分析して、経営者に諫言できる実力が備わってこそ、存在価値があると自負しています。

つまり、労使協議会という仕組みだけあっても、単に会社のイエスマンのような労働組合であったり、逆に、経営者は敵だ!と労使紛争を活動の目的に据えている労働組合であっては、仕組みの中でやりとりされる情報は、常に一方通行となり、”協議を通じて現場の社員と経営者の想いをすり合わせる”という本来の目的は、決して実現できないのです。

労使協議会で、労働組合としての役割を発揮するためには、どれだけ現場の声に精通しているかが問われる訳ですから、労働組合は、組合員との対話に特に力を注ぎます。こうした対話活動は、多くの組合でユニオンミーティングと呼ばれ隅々まで定着しています。

ミーティングでは、会社の方向性や経営者の考えを伝えると同時に、組合員の生の声を聞き出すことに専念します。「会社の考えは今説明した通りですが、会社組織のしがらみとかに囚われず、皆さんの率直な考えをお聞かせください」と言う具合に対話を進めて行きます。

こうしたしがらみに囚われない、ゼロベースでの論議こそ、会社のマネジメントの仕組みの中では許されていないのが現状ではないでしょうか。”社長や上司の方針には否が応でも従う”という前提でしか論議が許されない。実行できないかもしれない・・・と現場の社員が感じても、それを質問することさえはばかれることが常なのです。

しかし、ユニオンミーティングでは、このゼロベースでの論議こそが最も重要であり、会社組織から独立した自律的な組織だからこそ可能な論議なのです。

ユニオンミーティングと同様の機能を、社内のマネジメントの仕組みに組み入れて、現場の社員だからこそ持っている”こだわり”や”知恵”を、労使協議会ではなく、社内会議のテーマとして、論議の俎上に浮かびあがらせることができれば、社員が心の中で本当はどう感じているのか、実行にあたって支障があるとすれば、という社長やマネジメント層の不安を軽減できるのです。

 

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