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部門を越えた協調性を生み出す秘訣

SPECIAL

人事制度コンサルタント

株式会社ENTOENTO

代表取締役 

会社を成長させる人事制度づくりで、700社以上の指導実績を誇る日本屈指のコンサルタント。日本の過去50年間の人事制度のつくり方とは異なり、経営者の評価と賃金の決め方を可視化してつくる画期的な人事制度は経営者から大きな支持を得ている。

しばしば、経営者から次のような悩みを打ち明けられることがあります。

「当社は部門間の協力体制がない。“ 困っていたらお互いに助け合うことが必要である” と常に力説していても、社員はそのように行動しない」

同じ企業に勤めながらも協調性がないことは私の目には異常に映ります。経営者も当然その異常な行動をなんとかしたいとの思いで相談されるのでしょう。

しかしこの解決策は意外と簡単なところにあります。

この協調性の無さを生んでいる「ある仕組み」が存在している可能性があるかもしれないのです。

その仕組みとは、賞与を計算するときに仮にAとBとCという部門があった場合、その部門ごとに賞与原資計算をしその部門ごとに賞与を配分している仕組みのことです。

これは、つまり賞与原資計算の仕組みです。自部門で稼いだ利益は自部門で分配することを経営者が宣言していることであり、この宣言をしてしまった以上、大変な思いをして他の部門を「支援しよう」「応援しよう」という気持ちを根こそぎ奪ってしまうのです。

このことには例外がありません。

逆に言うと、この賞与原資の計算の仕方を変えれば、一挙に部門間で協力体制ができるようになります。

それは部門ごとに賞与原資を計算するのではなく、多部門の利益の合計、つまり全社の利益で賞与原資の計算をするのです。

経営者は全部門の業績が良くなって欲しいと思っていることは間違いありません。

しかし、結果として出てしまった利益はその部門に帰属すると、短絡的に考えてしまう可能性があります。

しかし、その部門を越えた利益を生み出すためには、現場の中でお互いに協力し合うことが最も企業全体の利益を創出することになるのです。

このように、「賞与原資は部門を越えた全社の利益で分配する」と、計算方式を変えた瞬間から、全部門は協力体制に入ります。

もっとも、一番利益の出ている部門からは、この原資の計算の仕方に反対の意見が出る可能性があるでしょう。そのとき経営者は、毅然とした態度で次のように説明しなければなりません。

「もしこのまま部門ごとの賞与原資計算で実施した場合、あなたにはこの一番利益が出ていない部門に異動してもらうこともありますがどうでしょう。部門の利益が出ていることと社員の成長点数と一致しているのであれば、あなたがその部門に行けば、その部門の利益は出るはずです。その異動に気持ち良く了承してもらえますか?」

こう経営者が質問したら、その質問した社員は頭を下げて「分かりました」と本当の経営者の思いを知ることになるでしょう。

「たくさん賞与をもらいたい」社員のその気持ちは理解できます。

しかし一番たくさん賞与が出るのは、部門間を超えた協力体制ができたときです。それをその計算式で示すことが必要です。

何か問題があったら、それは社員の問題と考えずに、現在ある人事制度の何かの仕組みが社員を問題行動に走らせていると気づく必要があります。

この問題があったら、至急対策を立ててください。

 

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